1日に発生した能登半島地震からまもなく丸3日。倒壊した建物に取り残された人が助かる確率が大きく低下する「72時間の壁」が迫っている。
普段の年なら、官庁はじめとするオフィス街が動き出す4日は、まだ正月気分の抜けない楽しげな空気も漂うが、今年は違う。日本中が被災地を思い、悲しみと不安にさいなまれている。
いまは非常事態だから、政権批判は極力控えるべきと心得る。しかし今、被災地から聞こえてくる悲痛な声を聞くにつけ、やはり少々苦言を呈さずにいられなくなる。
3日のオンライン会議で、石川県輪島市の坂口茂市長は「1万人の避難者に対して、食料は2000食しか届いていない」などと窮状を訴えた。
能登半島の突端にあり、昨年に続いて地震に襲われ、さらに津波の被害も受けた珠洲市については、地元テレビ局「北陸放送」が「いまだ約700人が取り残されている」と報じている。
凶事は重なった。2日夕方、被災地に物資を届けるため新潟県に向かっていた海上保安庁の航空機が、東京の羽田空港で旅客機と衝突・炎上し、乗員6人のうち5人が死亡するという大惨事が起きた。多数の道路寸断が起きている現状、民間の物資輸送はままならない。