最近の永田町では、「LGBT(性的少数者)が政局になる」などという、信じられない話が聞かれる。そんななか、自民党の茂木敏充幹事長が15日、「(LGBT議員立法について)なるべく早く国会提出することが望ましい」と述べたと報じられている。
このニュースに対し、「憲法改正が先でしょうに」と私はツイッターでツッコミを入れたが、安倍晋三元首相なき自民党の行方がいよいよ心配になってきた。
茂木氏の発言を伝えるNHKのネット記事には、次のように書かれてある。
「LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法は、おととし、自民党内で意見がまとまらず、国会への提出が見送られ、自民党は、党内の一部で反発が根強い『差別は許されない』という文言の修正を模索…」
このくだりを読んで、「おととし」のある日、安倍氏と交わした会話を思い出した。
2021年の初夏、私は議員会館の安倍事務所を訪れた。いつものように、応接室ではなく執務室に通された。そのとき、安倍氏は、私の取材とは関係のないある話題を切り出した。自民党内で紛糾していたLGBT法案についてだった。
「これは、もはやLGBTへの偏見をなくそうという運動じゃなく、世界的な政治闘争になっているよね。米国でティーンエージャーに何が起きているかを知るべきなんだよ」