12月23日に行われたレスリングの全日本選手権、57キロ級決勝戦。伊調馨(34)に敗れた五輪金メダリストの川井梨紗子(24)は、人目を避けるように、体育館の隅で号泣するのだった――。

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伊調と川井の対戦は、至学館大学前監督・栄和人氏(58)の新旧教え子対決として注目された。

残り10秒で伊調が川井を逆転 ©共同通信社

協会関係者が語る。

「18年1月に栄氏は、伊調に対するパワハラで告発されましたが、川井は栄氏が手塩に掛けて指導してきた教え子。栄氏はパワハラ騒動後、周囲に『伊調はもういい。東京五輪は川井だろ、川井』と吹聴していました。至学館大の監督を“クビ”になってからも、栄氏は川井への指導を続け、“打倒伊調”を託していました」

「まぐれだよ!」

12月22日、全日本の一次リーグで愛弟子・川井が伊調を破った一報を聞いた栄氏は嬉々としてこう語っていたというが、会場にその姿はなかった。

スポーツ紙記者が語る。

「栄さんは子飼いの選手を引き連れ、日体大の先輩である協会の高田裕司専務理事が監督の山梨学院大学に拠点を移すと見られていました。しかし、結局、教員や保護者の反対が根強く、移籍は思うように進んでいない。また11月末には親しい記者を集めて、至学館大学の“外部コーチ”復帰をぶち上げるプランもありましたが、こちらも頓挫しています」

東京五輪への挑戦を明言 ©共同通信社

18年9月、栄氏は、内閣府にパワハラ告発した田南部力氏を逆に名誉毀損で提訴している。田南部氏は現在も伊調のコーチを務める人物だ。

「内閣府に提出された告発状に虚偽が含まれており、名誉毀損にあたると主張。ただ栄氏による伊調、田南部コーチへのパワハラについては、第三者委員会によって決着が付いている。パワハラ問題は収束したにもかかわらず裁判に訴えたことで、栄氏の再就職はさらに厳しい状況に追い込まれました。また栄氏のために証言台に立とうという協会の人間はいない」(前出・協会関係者)