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1.19 裏金問題〟で日本保守党が公開質問状、自民愛知県連が仰天の返答「調査は致しません」

先週の本コラムで、「裏金問題」について日本保守党から自民党愛知県連への「公開質問状」の件を書いた。翌日には台湾へ飛んだため、今週の本稿では台湾総統選後の情勢を書くつもりでいた。

実際、現地では選挙の様子のみならず、台湾外交部(外務省に相当)はじめ、多くの知人友人と面会できた。そこでの様子も含め、いざ執筆と机に向かった途端、とんでもない情報が飛び込んできた。

先週の「公開質問状」に対し、自民党愛知県連から「返答」があったのだ。

日本保守党の広沢一郎事務局次長から私へのメッセージには、回答の現物が貼り付けられ、次のように添え書きされていた。

「なんと、自民党愛知県連から返事が来ました。裏金を認識しておらず、回答しません、ですと」

添付された現物の文面を見て、私は呆気(あっけ)にとられた。

まず、中身以前の問題として、文書の形式がひどい。まともな組織の発出するものとは思えない。思い出したのは3年前のことだ。

古い話で恐縮だが、2021年6月、私は本コラムに「誰が対中非難決議を潰したのか」という一文を寄せ、当時の自民党幹事長、二階俊博氏や林幹雄幹事長代理らの密室での会話をスクープした。この記事について後日、「自民党幹事長室」名で、曖昧模糊(もこ)としたクレームとも何とも解せない「文書」をもらったのだが、あのときも形式がメチャクチャだった。

一般企業で仕事をしたことがある人なら誰でも、これはおかしいと思うはずだが、自民党という組織には「幹事長室」という中枢にさえも、その感覚を持つ人がいなかったようだ。

ましてや今回は「愛知県連」という地方組織。文書の形式など知らなくても無理もないのかもしれない。

では、肝心の内容はどんなものか。まず宛名がある。

「日本保守党 代表 百田尚樹様 共同代表・減税日本代表 河村たかし様 事務局 有本香様・広沢一郎様」

この後、「拝啓」などの頭語は一切なく、いきなり次の本文が記されている。「令和6年1月10日に頂戴しました質問につきましては、『裏金』の存在を認識しておらず、調査は致しません」

本文はこれで終わり。

続けて日付があり、改行して、差出人が「自由民主党愛知県支部連合会」とのみ書かれている。

3年前にも書いたが、自民党さんは全箇所に「ビジネス文書の書き方」という本の一冊も常備すべきだ。

ただし、この文書形式がいかにおかしいかは、ネット番組で詳述するので本稿では触れずにおくが、「『裏金』の存在を認識しておらず」とはどういうことか。

広沢次長は「すごい開き直りですね。(中略)公開されることをわかっていながら、よくこの回答を送ってきたな、という感じです」とメッセージしてきたが、これ果たして、日本保守党をバカにしているゆえの珍回答なのか。

そうではあるまい。バカにしているなら、完全無視でいい。

仮に「調査をしない」という回答をするにしても、その言い訳として「現在、司直の手にあるので」というような、もう少しもっともらしい書きようがあるはずだ。とすると、組織としての「問題認知力」に支障があるということか。

世の中には「不祥事があったとしても、自民党にしか政権担当能力はない」といって、自民党をかばう方々がいるが、本当にそうだろうか。

自民党に「政権担当能力」があるように見える、その理由は明らかだ。自民党には、議員が官僚組織とどう懇(ねんご)になるかのノウハウだけは伝承されている。これだけの話ではないか。

あの程度の「回答」文しか書けない組織にとって代われぬはずがない。政治刷新を行うのは自民党ではない。私たち国民である。

■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

 

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