LGBT(性的少数者)の法令化問題は議論を呼んでいる。全国の自治体で「性的指向と性自認」の少数者への差別禁止や同性婚に準じる同性パートナーシップ導入を定めた条例が制定されているが、私が問題だと思うのはT(トランスジェンダー)の性自認の法令化だ。これは、男女の性別は生まれつきの体で決まるものではなく、自分の認識で後に変更できて良いはずだという「トランスジェンダリズム思想」を背景としている。
男性器があっても「女性」という性自認だから女性として遇されるべしとなれば、女性トイレなどに怪しげな男までも入りやすくなり、女性の安心・安全が害される。「トランス女性」(生まれは男性、性自認は女性)が女性スポーツで優勝し、女性がトップに立てないという混乱は、すでに世界で起きている。
昨年5月、自民党で「LGBT理解増進法案」の提出が見送られた際、少なくないメディアは、あたかも自民党の「反動勢力」が反対したのが理由のように報じていたが、それは違う。市井の女性らが「性自認は危うい」と必死の想いで自民党議員に要請して回ったからである。
私自身は同性婚は当事者同士の問題だから導入すべきだと考えるし、トランス女性・男性の権利も守るべきだが、それは揶揄や仕事で差別されてはならないということで、「女性として遇せよ」の意味ではない。そうなれば「女性の権利法益、公平性の簒奪」や「性の無政府主義社会」につながり得るからである。