在英エクアドル大使館に7年近く籠城していた告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ被告(47)がついに外界に引きずり出された。ロンドン警視庁に逃亡容疑で逮捕されたアサンジの顔はむくみ、髭はぼうぼう。かつては支援者の母性本能をくすぐった優男の面影は一切なかった。

逮捕時には「英国は抵抗せよ」と叫んだ ©共同通信社

 アサンジが米機密文書を暴露し、デジタル・ジャーナリズムの到来を告げたのは2010年のこと。だが、女性2人へのレイプ容疑をかけられ、米国への引き渡しを怖れた彼は反米エクアドルの大使館に逃げ込んだ。

 その籠城生活は悲惨を極めた。大使館は館内に寝室と仕事場を急造したが、ベッドは床に敷いたマットレス。台所は狭く、便所と浴室は共用。気晴らしに猫を飼い始め、廊下でスケートボードやサッカーをしたり、走ったり、支援者から贈られたランニングマシンで1日120キロ走ったこともあった。だが、太陽を浴びられたのはバルコニーから声明を発表した僅か20分だけ。深刻な日照不足は健康を蝕み、心肺機能が低下、血圧にも異常を来し、アサンジの母国オーストラリア政府が正式に抗議したほどだ。