今秋からコロンビア大学国際公共政策大学院で教鞭を執っている森信親前金融庁長官(61)。10月下旬から11月上旬にかけて一時帰国した際、都内で旧知の金融機関役員と食事を共にしていた。気の置けない相手に森氏の口からは思わず本音がこぼれた。

「もっと早く(長官を)辞めておけばよかった。(金融庁に比べ)コロンビア大の報酬は段違いにいい」

在任期間は異例の3年に及んだ ©文藝春秋

歴代最強の金融庁長官と恐れられた森氏だが、在職中からの不満は「同年齢の民間金融機関役員との年収差」(森氏の知人)だった。金融庁長官の年収は推定2300万円強。1億円超のメガバンクトップとは格段の差がある。

そこで森氏は在任2年目から退官後を想定し、親しいファンド経営者と相談して会社設立の準備を進めていたという。実際、退官から僅か1週間後、コンサル会社「日本金融経済リサーチ」を設立。代表取締役に就任している。

かたやコロンビア大学の教授ポストは非常勤。上席研究員の立場で中央銀行や金融政策の研究に携わっている。

「半年は米国で学生を教えるが、残り半年は日本にいて研究にあたるようです。高校3年生の息子が受験を控えており、『進学先いかんでは家族で米国に住む可能性もある』と言っていました」(同前)