ベストセラー作家の百田尚樹氏と筆者らが立ち上げた政治団体「日本保守党(以下、保守党)」が6日、東京都江東区に事務所を開設した。江東区の中心といって差し支えない、富岡八幡宮に程近い、永代通り沿いの「一等地」。地元の方々からは「事務所の立地だけならダントツだね」などと冷やかされている。
先月、候補者擁立を表明した衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)の準備をここで進めているのだが、6日に催した「事務所開き」の後、思わぬ反響があって驚いている。
自民党議員などの事務所開きは、一種の「パーティー」だと聞くが、簡素で小さな弊事務所でそんな盛大なまねができるわけはない。百田代表、河村たかし共同代表(名古屋市長)をはじめとする関係者のほかには、ごく親しい支援者さんのみに参列いただいた。
設えこそ簡素だが、富岡八幡宮の神職さんによって執り行われた事務所開きの儀は、非常に厳かなものだったと自負する。事務所探しにもそれなりに苦労した筆者としては、闘いの陣立ての土台が何とか整ったと胸をなで下ろしもした。
儀式の後、皆で記念撮影をし、その写真をネット上のX(旧ツイッター)に投稿したことで「反響」が生じた。前述のとおり、写真には関係者のほか、私たちにとって非常に大切な支援者さん、お二人が写っていた。
一人は、富岡八幡宮の崇敬会会長であり、白河管内連合町会の会長を務める菅澤運一さん。もう一人は、深川神明宮の総代で、森下連合町会の会長を務める鈴木平次郎さんである。深川きっての名士、重鎮といって過言でなく、下町の保守層を代表するお二人でもある。
余談だが、菅澤さんは御年88歳にして、現役の会社社長。鈴木さんは、菅澤さんをして「私の2歳先輩」と言わしめる90歳。しかし、お二人とも長身で背筋がシャンと伸び、事務所開きには自転車でさっそうと来られた。
むろん私たちが深川の名士方と知己を得たきっかけも、来たる選挙にある。しかし、すべて選挙、票のために、おべっかを使っているわけではない。それが通じる相手でもないと思っている。
私は短期間に菅澤氏、鈴木氏に複数回お目にかかっているが、両氏はお世辞抜きに尊敬できる方々なのだ。強い愛郷心と地域への責任感を持ち、派手さを嫌う質実、公正さを重んじ、そして穏やか。独特の哲学を持つ人生の大先輩である。
こんな方々との出会いがあったことは、私の人生の大きな収穫でもあった。この数カ月の党立ち上げの苦労を補って余りある出会いといっていい。
さらに、もう一人、私たちの初陣に欠かせない存在がいるが、その方については後日詳述しよう。
結果のいかんに関わらず、日本保守党はここ深川を「草創の地」として今後も活動していくであろう。ネットを駆使して全国の人々としっかりつながりながら、一方で、地域密着、地に足のついた保守勢力となっていく。執行部一同、その決意を固めたのだ。
昨年の結党時に表明したとおり、「はじめに選挙ありき」ではなく、「まず理念の共有ありき」。共鳴者が増えれば、結果はいずれついてくる。この結党の決意を、改めて貫く覚悟である。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。