「アイツらは自国ではもっとひどい環境で暮らしている」ベトナム人実習生を“狭すぎる部屋”に追い込んだ新藤義孝経済再生担当大臣の“400万円口利き疑惑”
10月26日発売の「週刊文春」は、新藤義孝経済再生担当大臣(65)がコンパニオンを呼んだ宴会で有権者を買収していたのではないかとの疑惑を報じた。翌27日の予算委員会で、立憲民主党の後藤祐一氏にこの疑惑を質された新藤氏は、「コンパニオンと言われていますけど、給仕のお手伝いをする皆さんですよ」と答弁した。
JITCOの基準を無視して新宿舎を新設
そんな新藤氏の地元・川口市は、「鋳物の街」として知られ、鋳物工場で働く外国人技能実習生が数多く生活する。約100社の鋳物業者で組織する「川口鋳物工業協同組合」が、実習生向けの3階建て宿舎「川口技能実習生研修センター」(以下、新宿舎)を新設したのは2017年3月のことだった。
ただ、計画段階から疑問の声が上がっていた。鋳物組合員が振り返る。
「技能実習制度運用要領」が公表され、実習生の受け入れが難しくなる
外国人技能実習制度は1993年に導入されたが、低賃金の単純労働を強いるなどの問題が相次いだため、2016年、人権侵害防止策を盛り込んだ外国人技能実習適正化法が成立。翌17年4月、実習生の報酬や宿舎環境などの水準を示した「技能実習制度運用要領」が公表された。この運用要領が新宿舎の門出に水を差した。寝室は「1人当たり4.5㎡以上」と明記されたからだ。
「この基準が定まってからは、既存の施設も含め、規定を満たさなければ実習生の受け入れが認められなくなった。組合幹部は、例外を設けるよう厚労省などに再三働きかけたが、けんもほろろの対応でした」(前出・組合員)
そこで彼らが頼ったのが新藤氏だった。
『改悪』と言わざるを得ない方針転換
「新藤氏の後援会長を務める石川義明専務理事(現理事長)らが、17年5月頃に東京の新藤氏の国会事務所で、厚労省、法務省の官僚を呼んで要望をしたのです」(同前)
すると不可解なことに、要領公表からわずか3カ月後の7月14日、宿舎の広さ規定が変更される。寝室以外に、私有可能なスペースをもうけ、1人当たり計4.5㎡以上となれば適切と認めると、方針が転換されたのだ。
こうして新宿舎は、実習生の居住スペースを増やすことなく、外に倉庫をつくるなど対策を講じるだけで、実習生の受け入れが可能となった。
外国人技能実習の問題に詳しい斉藤善久神戸大学准教授が指摘する。
「外国人技能実習生の住環境の不満は多く、その待遇改善のために広さなどの基準が定められました。その基準を緩和させたこのケースは『改悪』と言わざるをえない。実習生を受け入れる企業の多くは、国内で労働力を確保できない不人気産業の企業で、数年で回転する外国人労働者の宿舎に投資をするマインドも体力もないのが実情。これらの企業を票田とする政治家が、その意を受けて動いたという事でしょう」
「川口鋳物工業政経研究会」は合計400万円を寄附していた
陳情の攻勢をかけていた鋳物組合の政治団体「川口鋳物工業政経研究会」は、新藤氏の政治資金パーティに、参加者のうち最高額となる40万円を支出している。
また同年には衆院選が行われているが、選挙直前の10月、新藤氏が代表の「自由民主党埼玉県第2選挙区支部」に同研究会は100万円を寄付。これも同年の最高額である。
新藤氏の新宿舎に関する“口利き”があってから確認できる21年分まで、同研究会は合計400万円を寄附しているのだ。
事実関係について訊ねると、新藤氏は、弁護士を通じてこう回答した。
「お尋ねの件は6年前のことに関するものですが、当事務所からご指摘のような働きかけをした事実は確認されませんでした」
だが、前述の石川理事長は直撃取材に口利きの事実関係を認めている。
11月1日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および、11月2日(木)発売の「週刊文春」では、新藤大臣の400万口利き疑惑について、ベトナム人実習生の嘆願書や鋳物組合理事長への直撃など、詳しく報じている。
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