「増税メガネ」と呼ばれたくない――。その一心で、所得税減税に飛びついた岸田首相。バレバレの思惑はあっさり見破られ、国民の怒りは沸点に達しようとしている。レームダックと化した岸田政権はどこに向かうのか。
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10月20日午後5時過ぎ、永田町の首相官邸。4日連続の来訪となった自民党の萩生田光一政調会長は、岸田文雄首相と向きあい、こう進言した。
「所得減税は効果が出るまでに時間がかかるので、党内からは反対する声も上がっています。橋本(龍太郎)政権の時のこともありますし……」
1998年、「定額減税」をきっかけに退陣に追い込まれた橋本政権を例に挙げた萩生田氏。だが、岸田首相は耳を傾けるだけで言葉を発しない。しばらくすると、嶋田隆首相秘書官が口を開いた。
「とにかくこれは総理が決めたことですから」