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【独占インタビュー】我那覇真子氏「尖閣問題、現実を直視して」

【独占インタビュー】ジャーナリスト・我那覇真子氏「尖閣問題、現実を直視して」

※ 大紀元エポックタイムズで表明された内容や意見は、寄稿者の個人的見解です。無断転載を堅く禁じます。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)の沖合で、中国海警局の武装船による領海侵入が相次いでいる。8月30日には、領海、接続水域に合わせて中国公船7隻が航行した。9月4日までに27日連続で中国当局の船が確認されている。

また、8月20日には、尖閣諸島の接続水域外側で約100隻の中国漁船が休漁期間明けに操業を始めるなど、東シナ海で中国の動きが活発になっている。

中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は4月、改正海上交通安全法を可決。9月1日から施行された同法では、中国が主張する「領海」に外国船が入れば、当局が退去を命じたり罰金を科したりできるようになった。

緊張の高まりが懸念される現地では、今、何が起こっているのか。石垣市で取材を行った、沖縄県出身でジャーナリストの我那覇真子氏に聞いた。

横暴さがエスカレートしている

 

――尖閣諸島の現状は

中国政府の横暴がエスカレートしているのは事実です。(編集注:中国政府は21年2月、「中華人民共和国海警法」を施行させた。尖閣に現れる海警局の武装船が同国の「第二海軍」になった)

以前は、中国船が魚釣島周辺をうろつくだけでしたが、今や石垣市と魚釣島の中間地点あたり、つまり石垣島の約70キロメートル先に姿を現すようになったのです。

やり口はこうです。日本の漁船が尖閣諸島に出漁すると、中国船が中間地点で出現する。その後、漁のスポットまで並走し、魚を獲っているところも監視する。石垣島に帰る際も、「追い返す」ような形で中国船が追走してくる。

つまり、実効支配の既成事実づくりに熱心なのです。今は海上保安庁の巡視船が、海警局の船をパトロールしてはいますが、追い返すことはできていません。

漁師さんたちは「純粋に漁がしたい」だけ

――漁師さんたちへの影響は

やはり、純粋に尖閣で漁をしたい、というのが彼らの本音です。中国船と海保の船がすぐ近くにいるので、スクリュー音で魚が逃げてしまうのが問題になっています。実は、石垣島からだけではなく、沖縄本島の漁師さんたちも尖閣諸島へ出漁しているのですが、その際も中国船の妨害にあっています。

以前、尖閣で漁をした漁師さんに取材させていただいたのですが、彼は「俺たちはそこに魚がいるから、漁に行くのだ」と話していました。尖閣諸島の問題は政治問題でもあるのですが、被害を受けている方がいる現実も伝わってほしいです。彼らは、漁で生計を立てているのですから。

また、尖閣への出漁には燃料代等、コストがかかるのが現実です。そこで、仲間均市議会議員らが発案して、「尖閣産」の魚として売りに出そうとしています。(尖閣で獲れるマーマチなどの)ブランド力が高まれば、漁師さんたちも出漁しやすくなります。


あらゆる点から、尖閣への出漁が難しくなっているのが現実なのですが、一日でも早く漁師さんたちが普通に漁をできるようになってほしいです。

経済的な依存が、政治への介入を許してしまう

――尖閣の危機を知らない国民も多い

沖縄県民も、他の地域に住む方もそうかもしれませんが、あまり皆さん関心がありませんよね。

でも、それこそが中国政府がしかける「超限戦」なのだと思います。尖閣問題に対する政府の煮え切れない態度を見ても分かるよう、内部に「中国を刺激するようなことはしない方がいい」と考える人間がいるのでしょう。

特に、私の故郷である沖縄県も、そういった考え方が根強いと感じています。実際に、玉城デニー県知事は過去に「『一帯一路』に関する日本の出入り口として沖縄を活用して欲しい」と、訪中した際に発言しています。

今一度、考え直してほしいのは、中国政府は「戦わずして勝つ」という戦略をとっている、ということです。私は過去にアルメニアを取材しましたが、同国がいかに経済的に中国に依存しているか、実態を見ました。救急車やバスなどは中国からの贈り物で、ショッピングセンターなどのハコモノも作ってもらっているそうです。

まずは、そこに住む人たちの生活を依存させ、徐々に政治へ介入する。気づいたら反対意見は封じ込められていて、あっという間に支配が完了してしまうのです。

沖縄県民も、危機感を共有する必要があると思います。

中国依存が、沖縄の経済的自立の妨げに

――沖縄県と中国の関係性は深い

特に沖縄県は観光立県です。コロナ禍以前は、中国からの観光客が多額のお金を落としていました。業界的にも、中国との切り離すことのできない利権もあると聞きます。

象徴的なエピソードを紹介しましょう。

私は以前、沖縄県庁前で、演説をしていました。すると、中年女性が声をかけてきました。彼女は国際通りを指して「あれは誰のおかげで存在していると思う?中国のおかげでしょう。だから保守的な言論は改めなさい」と言ってきたのです。

でも、それは間違いだと思います。お金のために領土問題に目をつぶることは、今は良くても、将来世代への責任を果たせません。また、沖縄県の真の経済的自立のためにも、基本的価値観を共有しない国との取引に依存することは大きなリスクを孕んでいると思います。

また、「有事の際にはアメリカが守ってくれる」という発想も捨てるべきです。主権国家は、自国の領土は自分たちで守らなければいけません。アメリカ取材を敢行した際も、海外のジャーナリストに「日本は、憲法9条の改正をすべきだ」とよく言われました。

今起きている尖閣諸島の現実を直視し、この国のあり方を考えるタイミングが来たと思います。


(聞き手・構成:新嘉真
)

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