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4.28主権回復の日・尖閣・領土主権堅持の世界的意義 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県石垣市(鈴木健児撮影)
尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県石垣市(鈴木健児撮影)

≪「主権回復記念日」に際し≫

 4月28日は日本の対連合国講和条約が発効した記念の日である。昭和27年のこの日から既に69年の歳月が過ぎた。この日付にその旨を明記してゐる市販の暦もあるけれども極めての少数派であらう。

 平成9年のこの日に、此(これ)を主権回復記念日といふ国民の祝日に制定しようとの趣旨で開催した民間有志の発案になる国民集会も本年で第25回となる所だが、武漢肺炎の猖獗(しょうけつ)が未(ま)だ終熄の見込の立たない現状では、集会開催は慎しまざるを得ない。昨年迄(まで)連年欠かさず集会の形で訴へ続けて来た祝日の制定といふ目標も、依然として達成ができぬままに休会となつた。

 記念日制定は、元来独立国家としての主権意識確立のための手段だつたのだが、その手段も入手できぬうちに、肝腎(かんじん)の我が国の国家主権そのものが危殆(きたい)に瀕(ひん)するといふ事態になつてをり、口には言へぬ程の憮然(ぶぜん)たる思ひである。

 国家主権意識の涵養(かんよう)を訴へる動機として当初から、対外的には北方領土及び竹島の返還要求、被拉致同胞の全員奪還、対内的には国軍と交戦権保有を明記した自主憲法制定等の諸課題がその主要項目であつた。就中(なかんづく)、ここ数年来沖縄県尖閣諸島に於(お)ける領土領海の防衛をめぐる国家主権の危機的状況が緊急逼迫(ひっぱく)の度を増してゐる。

 主権回復記念日国民集会を主催する同憂の士達の中には、尖閣諸島防衛の緊急性確認のため現地の海域に何度も渡航し実情視察に努めた勇敢な行動力の持ち主も幾人か居る。だが海上保安庁・政府はその篤志家達を激励するどころか無用の冒険主義は迷惑と言はむばかりに行動を制止する始末だ。

 中国側は周知の如く、無法にも尖閣諸島に対する領有権を強弁し本年2月に制定したばかりの「海警法」を振翳(ふりかざ)し、我が国の領海で操業してゐる日本漁船群に向け武装船による威圧を加へて来てゐる。それに対しての日本側の只々事勿(ことなか)れ主義に堕した対応は実に慨嘆に堪へない。昨年11月24日の王毅中国外相の傲慢無礼な暴言に我が茂木敏充外相が示した屈辱的な応対が事の原因をも結果をも示現してゐるが、あれは相手の国際法規を蹂躙(じゅうりん)する覇権主義的姿勢に暗黙の了解を与へたに等しい。

≪尖閣防衛は自由守る要≫

 尖閣諸島の防衛問題は今や我が国土の辺境部の危機といふ範囲を超えた、国際社会に於ける国家主権の尊厳をめぐる象徴的案件である。中国の習近平現政権は米中による太平洋の二分割統治を覬覦(きゆ)してゐると見られる覇権主義に取憑(とりつ)かれてをり、その野望は自由主義世界にとつてといふよりも全世界にとつての既成秩序崩壊を意味する禍根である。中国海軍の戦力は現に数量の上で米国を凌駕(りょうが)するまで増大して西太平洋の制覇を狙つてゐると見られる。

 然(しか)し尖閣諸島はまさに彼等の最も手近な戦略の展開範囲である所謂(いわゆる)第一列島線の線上に位置する。この線を自由に踏み越えて艦隊が行動できるならば、米国に対する中国の潜勢力は第二列島線内で飛躍的に増大するであらう。故に尖閣の領有を守り、この島々の海域が日本の主権の下にあるといふ事実を世界に認識させる事は<自由で開かれたインド太平洋>を維持するための鑰(かぎ)となる。現に日米豪印の4国は緊密な連繋の下に中国の逸脱行為抑止の態勢をとつてゐるが、尖閣の領土保全はその要の一としての役割を果すであらう。

 そこで、その尖閣防衛のための有効な戦法如何(いかん)であるが、それには情報戦とその裏付けとしての実際行動との両面を併せて推進する事が是非必要である。

≪情報戦略と実際行動を≫

 情報戦遂行の資財は幸ひに我に豊富にある。それはこの島に定住し多年漁業を営んで来た日本の漁民の歴史それ自体である。歴史の代表的文献として惠忠久著『尖閣諸島 魚釣島 写真・資料集』(平成8年、尖閣諸島防衛協会刊)があり、同書には明治16年の調査実施、明治30年代に日本漁民が定住を始めた沿革、当時中華民国がこの島嶼(とうしょ)を日本国沖縄県八重山郡の行政管内にある事を認めてゐた公文書、そして昭和40年代に同海域の海底資源発見の報と同時に中国側で地図の描き替へが始まつた歴史的経緯が詳細に収録されてある。

 その他にもこの諸島が日本国の領土である事を立証する<文書道理>は十分に我方の手中にあり、今後の情報戦の勝敗はこの史料的証拠を如何に効果的にクアッド各国を首(はじめ)とするアジア諸国に向けて発信するかにかかつてゐる。

 同時に実際行動が情報戦略の裏付けとして是非必要である。即(すなわ)ち国民が自国の主権の下にある領土領海で生業を営む自由を行動を以て世界に明示する事である。更に同島には例へば動植物の生態研究の施設を建設し、この施設への人材の派遣と物資補給のための上陸及び居住設備を戦前と同様に復元し実際に人員の駐在が望ましい。

 尖閣の防衛・保全を完遂する事は台湾の独立保障にほぼ決定的な好(よ)き影響を及ぼすのみならず、他ならぬ日中関係自体で、彼の我に対する蔑視を改めさせ、あるべき対等の交流を実現させるだらう。(こぼり けいいちろう)

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