■中国が攻勢―ブルキナファソが台湾と断交
中国の「一つの中国」宣伝によれば、台湾は中国領土の一部となる。日本が一九四五年の敗戦で台湾を中国(当時は中華民国)に返還したことを以ってその法的根拠とするが、しかしそれは誤りだ。
確かに日本は連合国の一員である中華民国軍が当時日本領だった台湾への進駐を受け入れたが、それで台湾を割譲したわけではないのである。四九年に中華民国政府は内戦で敗れて台湾へ逃げ込んでくるが、そうした亡命行為だけで台湾が中国領土になったわけでもない。五二年に日本は講和条約によって台湾の主権を放棄したが、それもまた中国への割譲を意味しなかった。
したがって「一つの中国」とは、たんに中国の台湾併呑を正当化するための虚構宣伝なのであるが、約二年前に発足した台湾の民進党政権は国民党の前政権と異なり、このフィクションを受け入れず、自らを主権独立国家だとの現状を強調するため、中国はこれに危機感を抱き、国際社会での台湾孤立化の謀略で躍起となっている。
孤立化で台湾を揺さぶり、士気を奪い、「一つの中国」を受け入れさせ、併呑してしまおうと狙っているのだ。
そしてその結果、前政権には許されていた台湾の民間航空機関(ICAO)総会へのゲスト参加、世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加が拒絶された。また国際刑事警察機構(ICPO)総会へのオブザーバー参加もかなわなかった。
また、当初二十二カ国残されていた有国交国との断交ドミノも起こっている。すでにサントメプリンシペ、パナマ、ドミニカが中国の財政支援の金銭外交攻勢により、「一つの中国」を承認すると声明して中国と国交を結んだ。
そして五月二十四日、今度はブルキナファソがそれに続いた。その断交宣言は、台湾側には突然だった。
ブルキナファソのバリー外相。ツイッターで「たった今、台湾と
の断交を発表した」と
■台湾の友好国を脅迫する中国
ブルキナファソのバリー外相は昨年一月、メディアの取材に対し、中国から五百億ドルの経済援助と引き換えに台湾と断交するよう求めていたことを明らかにしている。
五月二十一日から始まったWHO総会では、中国の理不尽な台湾排除に反対する米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、ドイツといった、「(台湾とは)理念の近い国」(台湾外交部)のほか、台湾と国交を持つ十九カ国中、十七カ国が台湾の参加を支持する発言を行った。こう言った提案は中国の反撥によって、議題にすらならなかったが、しかしこのように声を上げた国の数は過去最多だ。
WHO総会では日本の馬場成志厚生労働大臣政務官も
台湾参加を支持する発言
国交のある国で発言しなかったのは、WHOに加盟していないバチカンを除けば、ブルキナファソということになる。
当初同国の衛生相は「発言を行う」と台湾側に伝えていたのだが、約束を反故したのである。これも断交の前兆だったわけだ。
実は中国は総会に先立ち、台湾との有国交国に対し書簡を送り、「もし中国と国交を結びたいのなら、あるいは将来の対中国関係を考えるなら、台湾に協力するな」と圧力をかけていたことも判明している。
こうした恫喝も駆使しながら、各国に台湾との断交を迫ってきたのだろう。
■各国の対台湾関係強化に中国は不安
さてブルキナファソとの断交で、有国交国数が過去最低の十七カ国にまで落ち込んだ台湾だが、こうした状況を受け蔡英文総統は記者会見で、中国の外交的圧力を次のように批判した。
ブルキナファソとの断交を受け、中国を非難する蔡英文総統。その発言
には“負け惜しみ”ではないものが
「軍用機で台湾を周回したり、我が友好国に断交させたり、海外企業に我が国の名称を(中国台湾に)変えさせたり、台湾のWHOなど国際機関への参加を妨害しるなどは、どれも粗暴な政治的干渉。野蛮であればあるほど国際社会の反感を買い、台湾支持を強化するだけだ。今回のWHO総会で史上最多の国が声援を送ったのはその証だ」
「ブルキナファソと断交し、先日はドミニカとも断交したが、こうした中国の我が国への圧力掛けは、不安と自信不足の表れ。そしてその不安は最近の台湾と米国など理念の近い国とが経済面、安全保障面でさらに実質的関係を発展させていることからのもの」
こうした発言を負け惜しみと思うなかれ。実はこれが事実なのだ。
南支那海、東支那海を支配し、台湾を奪取し、西太平洋までを自国の内海にしようと躍起となる中国覇権主義に対して現在、日本や米国など台湾と「理念が近い国」が警戒を強め、かくて推進されるものに「自由で開かれたインド太平洋戦略」といった中国包囲網の形成がある。
■インド太平洋戦略から見た台湾の重要性
米国は台湾との安保面での提携強化を目指す米国の国防授権法(二〇一八年度)や台湾旅行法を制定して中国を刺激したが、これもまた同戦略の一環だろう。ウォレス・グレグソン元国防次官補(アジア・太平洋安全保障問題担当)が三月、台湾で開催された安保問題のシンポジウムで見せた次の発言は同国で注目された。
インド太平洋戦略にとっての台湾の重要性を語ったグレグソン元米国防次官補
「米国から見れば、台湾は米国のインド太平洋戦略の中では堅実な役割を担っている。台湾の地理的位置を見ると、台湾防衛は本質的に日本の防衛だとよく言われるが、日本の防衛もまた、部分的には、または完全に台湾の防衛なのだ。私たちはこうした方面での行動に出たい」
「冷戦時代のように台湾と日米は強健な関係を結び、(共産主義拡散を)有効に抑止しなければならない」
このように台湾は現在、中国の外交妨害攻勢に孤立するどころか逆にこれまでになく「理念の近い国」との関係を強化、深化させつつあるのである。中国がこれに「不安」を感じ、狼狽していないわけがないのである。
台湾での報道によれば、断交の連鎖は今後も続きそうで、次に中国に奪われる可能性が高いのはバチカンのほか、ハイチ、ホンジュラス、あたりだと見られているが、しかし今後これら小国がすべて奪われても、それは中国との金銭外交での不毛の競争からの離脱を意味し、また米国や日本との良好な関係さえ維持できれば、台湾はこれまでどおり安泰ではないのか。
そういった主張が台湾ではよく聞かれるのだ。
■日本だからできる「一つの中国」の否定
今回の台湾とブルキナファソとの断交を受け、日本では菅義偉官房長官が定例会見で「両岸(台中)関係、地域の平和・安定の観点から、今後の影響を含めて関心を持って注視をしていきたい」と述べたが、この発言は台湾でも速報された。日本政府が台湾に「関心」を示したことが、あの国には声援となるようだ。
日本政府の台湾問題への関心に触れた菅官房長官の発言は台湾でも注目された
ただこの時の菅長官の発言には以下のようなものもあった。
「台湾をめぐる問題は、当事者同士の直接対話によって平和的に解決すべきというのが我が国の従来からの立場だ」
要するに「一つの中国」原則を掲げ、台湾問題は中国の内政問題であり、他国はこれに干渉するなと訴え続ける中国への配慮が生んだ、政府お決まりの立場表明である。
これは「日本政府は台湾問題には関わりません」との響きが強く、こうした事勿れ主義的表現は、中国にも台湾にも誤ったメッセージを送ることになるから、今後は一々言う必要はない。
また政府には「台湾の帰属先については発言する立場にない」という、やはり中国迎合の立場表明もあるのだが、これも今後は言うのをやめて、「我が国は台湾を中国の返還しておらず、台湾は中国の帰属しない」と証言してはどうだろうか。
このように日本が真実を語って「一つの中国」の虚構を暴き、台湾の国際社会への復帰を図ったらいいのだ。なぜなら「台湾防衛は本質的に日本の防衛」なのだから。あそこが中国の手に渡れば、西太平洋まで中国の内海となってしまい、そうなれば日本は戦わずしてあの国に従属だ。
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