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3.14 安倍内閣総理大臣記者会見全文
令和2年3月14日

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【安倍総理冒頭発言】

 新型コロナウイルス感染症に関する特別措置法の改正案が昨日、成立いたしました。これにより、今後、万が一、緊急事態に至ったと判断した場合、この法律に基づいて、蔓(まん)延の防止と社会機能の維持のため、様々な措置を取ることが可能となります。この国家的な危機に際し、政治的立場の違いを超えて国民への責任を果たしていくべきである、その思いを共有していただき、速やかな国会審議と法案の成立に多大な御協力を頂いた与党、野党の全ての関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 もとより、そうした事態にならないよう、国民の皆様に大変な御苦労と御不便をお願いしながら、政府と自治体が一体となって懸命に感染拡大防止策を講じております。その上で、あくまで万が一のための備えをする。そのための法律であります。様々な私権を制限することとなる緊急事態の判断に当たっては、専門家の御意見も伺いながら、慎重な判断を行っていく考えであります。
 現時点において感染者の数はなお増加傾向にあります。しかし、急激なペースで感染者が増加している諸外国と比べて、我が国では増加のスピードを抑えられている。これが、専門家の皆さんが今週発表した見解です。
 WHO(世界保健機関)が今週、パンデミックを宣言しましたが、人口1万人当たりの感染者数を比べると、我が国は0.06人にとどまっており、韓国、中国のほか、イタリアを始め、欧州では13か国、イランなど中東3か国よりも少ないレベルに抑えることができています。こうした状況を踏まえれば、現時点で緊急事態を宣言する状況ではないと判断しています。ただし、事態は時々刻々変化しています。高い緊張感を持って事態の推移を注視し、国民の命と健康を守るため、必要であれば、手続にのっとって法律上の措置を実行する考えであります。
 前回の会見で申し上げたように、1、2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となるとの専門家の皆さんの見解が示されてから2週間余りが経過しました。そして、現時点では爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかというのが専門家の皆さんの評価です。この2週間余り、感染拡大を防止するため、現場で、学校で、職場で、そして地域で、大変な御協力を頂いた全ての国民の皆様に心より感謝申し上げます。
 春のセンバツなど、今月予定されていた各種のスポーツ大会も中止となりました。出場を目指し、連日、厳しい練習に打ち込んできた学生の皆さんの悔しい気持ちは、察するに余りあります。皆さんが応援する御家族や同級生の前で思い切りその実力を発揮できる、そしてライバルと正々堂々競い合える日が一日も早く取り戻せるよう、全力を尽くすことをお約束します。
 しかしながら、現状は依然として警戒を緩めることはできません。これまでの取組について専門家の皆さんに分析いただき、その結果が示されるまで、引き続き御協力を頂きますよう、改めてお願いいたします。
 未知の部分が多い新型コロナウイルス感染症でしたが、皆さんの御協力を頂き、これまでの対策を進める中で、多くのことが分かってきました。
 これまでのデータでは感染が確認され、かつ、症状のある人の80パーセントが軽症です。重症化した人でも半数ほどの人は回復しています。クルーズ船も含めれば、感染者の4割以上、600人に及ぶ方々が既に回復し、退院しておられます。他方、お亡くなりになった方は、高齢者の皆さんや基礎疾患のある方に集中しています。
 今週から全国の高齢者介護施設などへのマスク配布を順次スタートしていますが、こうした皆さんの感染予防に一層、取り組む必要があります。そして、重症化を防ぐための対策に、検査や医療の支援を集中していくことが重要だと考えています。
 感染力に関しても、これまで感染が確認された方のうち、約8割の方は他の人に感染させていません。つまり、人から人へ、次から次に感染が広がるわけではありません。他方で、スポーツジムやライブハウスなど、特定の場所では集団での感染が確認された事例が報告されています。その共通点は、第1に換気の悪い密閉空間であったこと。第2に人が密集していたこと。そして第3に、近距離での会話や発声が行われたこと。この3つの条件が同時に重なった場合です。この3つの条件が重なる場所は感染リスクが高い。そのことに最大限の警戒をしていただきたい。自らの身を守る行動を取っていただくよう、改めてお願いいたします。
 言い換えれば、これら3つの条件が同時に重なるような場を避ける、もしくは、できるだけ同時に重ならないように対策を講じることで、感染のリスクを下げることが可能です。
 この2週間、学校が休校となり、一日のほとんどを自宅で過ごしてきた児童生徒の皆さんも多いかもしれません。しかし、健康管理、ストレス解消のためにも、人が密集しないようにするなど、安全な環境の下、屋外に出て運動の機会も作ってください。
 今後、予定されている卒業式についても、安全面での工夫を行った上で、是非、実施していただきたいと考えています。
 参列できない保護者のために、オンラインで参加できるようにする。参列者のいない式を教員の皆さんが楽器演奏で盛り上げる。子供たちの一生に一度の門出を祝うため、各地の教育現場において厳しい制約条件の中で、本当に様々な工夫が行われていることに感謝申し上げます。
 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。最後の思い出を作る、この大切な時期に学校を休みとしたことは、大変申し訳なく思っています。皆さんが先生や友達と育んできた絆は、決して色あせることはありません。そうした絆を大切にしながら、これからもそれぞれの道で大いに活躍されることを願っています。
 小さなお子さんたちの居場所作り、仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんへの手当、給食の休止により、困難に直面する調理業者や酪農家の方々に対する支援。学校休校に伴って生じる、こうした様々な課題への対応を、今週決定した第2弾となる緊急対応策に盛り込みました。
 新型コロナウイルス感染症が経済全般にわたって甚大な影響をもたらしています。とりわけ、中小・小規模事業者の皆さんにとっては、事業存続にも関わる重大な事態であると認識しています。地域経済の核である中小・小規模事業者の皆さんには、あらゆる手を尽くして事業を継続していただかなければなりません。そのことによって、地域の雇用、働く場所はしっかりと守り抜いていく、そう決意しています。
 現下の困難な状況を乗り越えていただくため、雇用調整助成金を全業種で活用いただけるようにしました。そして、これまでの前例に捉われることなく、実質、無利子・無担保の強力な資金繰り対策を全国規模で実施することとしました。既に発生している債務についても返済猶予など、条件変更に迅速かつ柔軟に対応するよう、民間金融機関に要請しています。
 年度末が迫る中、4,300億円の財政措置と、1.6兆円の金融措置によって、万全を期してまいります。
 制度が使いにくいなど、何か運用に不手際がありましたら、全国に1,000か所を超える相談窓口を設けておりますので、是非その声をお寄せください。
 景気悪化への懸念が高まる中で、生活に不安を感じておられる皆さんへの当面の対策も講じる考えです。
 感染が世界的な広がりを見せる中、日本を含む世界中のマーケットが動揺しており、今後、世界経済の更なる落ち込みも懸念されます。動向を注意深く見極めながら、今後も機動的に、必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じます。
 現在は、あくまで感染拡大の防止が最優先でありますが、その後には、日本経済を再び確かな成長軌道へと戻し、皆さんの活気あふれる笑顔を取り戻すため、一気呵成(いっきかせい)に、これまでにない発想で、思い切った措置を講じてまいります。その具体的な方策を、地域経済の実情を十分に踏まえながら、政府与党の総力を挙げて練り上げてまいります。地域の声、現場の声に耳を傾けることで、全国津々浦々、心を一つに、正にワンチームで現在の苦境を乗り越えていきたいと考えています。
 今回の緊急対策には、最大の課題である感染拡大防止に向けた施策も盛り込みました。
 PCR検査については、各種の取組により、現時点で、前回会見したときよりも50パーセント多い、1日当たり6,000件を超える確かな検査を行うことが可能となっています。短時間で検査ができる簡易検査機器の開発も順調に進んでおり、一部については、今月中に利用を開始できる見込みとなりました。民間検査機関における設備導入を支援することで、一層の能力増強にも努めます。
 こうした取組を通じて、今月中には、1日当たり8,000件まで検査能力が増強できる見込みです。これを活用して、いわゆるクラスターと呼ばれる集団による感染の早期発見・早期対応に努めるとともに、患者の早期診断につなげ、重症化予防に取り組んでまいります。
 緊急時に備えた医療提供体制の整備も急務です。全国で感染症指定医療機関の病床を更に積み増すことで、既に1万2,000床以上の空き病床を確保しました。重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても現時点で3,000個を確保しており、予算措置を講じ、更なる整備に取り組んでまいります。
 現在は対症療法を根気強く続けるほかなく、決定的な治療薬やワクチンが存在しない。そのことが世界的な不安の最大の原因です。昨日の米国トランプ大統領との電話会談では、治療薬などの研究開発で緊密に協力していくことで一致しました。日本だけでなく、米国や欧州、さらにはWHOも含めて、世界の英知を結集することで治療薬などの開発を一気に加速したい。日本としてリーダーシップを発揮してまいります。
 世界的な感染の拡大がいまだに止まりません。繰り返しになりますが、今、私たちにできることは、まず感染の爆発的な拡大を抑えることです。そうすることで、全ての重症者に適切な医療を施すことが可能となり、いわゆる医療崩壊を避けることができます。そして、感染のピークをできるだけ後ろに遅らせることです。そうすることで、治療薬などが開発されるまでの時間稼ぎが可能となります。国民の皆様には本当に大変な御苦労をお掛けしておりますが、引き続きお一人お一人の御協力をお願いいたします。
 これは我が国だけの孤独な闘いではありません。世界全体が今、新型コロナウイルスという共通の敵に立ち向かっています。昨日はトランプ大統領に続き、フランスのマクロン大統領とも連携を確認しました。G7、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)の枠組みを活用し、経済政策も含めた国際社会の結束した対応をリードしていく考えです。人類はこれまで幾度も感染症の脅威にさらされながら、そのたびに乗り越えてきました。世界が手を携えれば乗り越えられない困難などありません。
 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号については、明日、全ての乗客・乗員への検疫対応が終了します。総員3,700名を超える船の中で見えないウイルスと闘うという前例のない、本当に困難を極めたミッションでありましたが、全員への検疫対応を終えることができます。この間、自国民を帰還させるためチャーター機を派遣するなど、各国の協力に対して感謝申し上げます。そして、医療関係者を始め、1か月半の長きにわたり過酷な現場で全力を尽くしてくださった全ての皆様に心から敬意を表する次第です。
 いかなる困難も力を合わせれば必ずや克服することができる。打ち勝つことができる。私はそう確信しています。
 私からは以上であります。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様の御質問をいただきます。
 御質問をされる方、挙手をお願いいたします。私、指名いたしますので、指名を受けられた方は所属とお名前を明らかにされた上で御質問をお願いいたします。
 初めに幹事社から参ります。はい、どうぞ。

(記者)
 幹事社の東京新聞・中日新聞の後藤です。
 総理からはまず、先ほど言及ありました新型コロナウイルスの更なる感染拡大に備える法改正についてお伺いします。
 新型コロナウイルスでも緊急事態宣言を出せるようになりましたが、国民の間には権利が制限されることへの懸念が根強くあります。また、専門家からは発令要件が曖昧で抽象的だという批判もあります。総理は先ほど、現段階では発令する状況にないという立場を述べられましたが、今後、どんな状況になれば発令されるのか、客観的な基準など、国民に分かりやすく具体的に説明してください。
 また、今回の法改正について、1月に初めての感染者が確認されてから、国内で初の感染者が確認されてから約2か月後となりました。対応が、備えが遅れたという印象があります。先ほど述べられたクルーズ船の対応も後手に回ったという批判がある中、これまでの危機管理の中で得られた教訓、反省点などについてお聞かせください。

(安倍総理)
 今、御質問にもあったように、現時点では、国内の感染状況を踏まえれば緊急事態宣言を出すような状況ではないと認識をしています。現時点で数値基準のような形でお示しをすることは困難ではありますが、確かにこの権利を制限するという面もあるわけでありますから、その判断に当たっては専門家の御意見を伺いながら慎重に行っていきます。
 なお、緊急事態が宣言された場合には、決定に至った背景等も含めて、本日のような、私から国民の皆様に御説明をする機会を設けるなど、政府としてできる限り分かりやすい、丁寧な説明を行っていく考えであります。まずはそうした事態にならないように、引き続き高い緊張感を持って、政府と自治体が一体となって感染拡大の防止に全力を尽くしていきます。
 そして、今、言われた、これまでの対応を振り返ってみてどうだったかということでありますが、例えばクルーズ船についてでありますが、3,700名を超えるクルーズ船における見えないウイルスとの闘いという、これは前例のないオペレーションでありました。それに加えまして、また、全国規模のイベントの中止、延期、規模縮小や学校の臨時休校要請、入国管理の強化など、国民の皆様に御協力を頂きながら、あらゆる手立てを講じてきたところであります。
 その中で、クルーズ船におきましても今までにない対応だったのですが、限られた、既にそのときにある支援の中で、我々も最善を尽くしてきたつもりであります。
 しかし、そうした事態がこれから起こったときに、あらかじめそのような設備を用意をしておけばよかったのかどうかという点においては、まずは今現在の状況に対応することに全力を尽くさなければならないわけでありますから、そうした対応がこれは一段落したところにおいては、様々な検証を行っていく、そして、もし次に起こったときには、更に万全を期していく必要があるのだろうと、こう思っております。
 国内の感染の状況については、様々な手を打った結果、現時点では爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかというのが専門家の皆様の評価であろうと思います。今後とも、依然として警戒を緩めることができない状況でありますが、国民の健康、命を守るために全力を尽くしていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それではもう一問、幹事社の方。

(記者)
 共同通信の吉浦です。
 東京五輪・パラリンピックを予定どおりに開催できるのかどうか、国内外から注目を集めています。
 IOCのバッハ会長は、WHOの助言に従うと述べ、そのWHOは新型コロナウイルスをパンデミックと表現して、世界的な早期の収束はまだ見通せない状況です。
 先ほど総理は、ピークを遅らせることが重要だとおっしゃいましたけれども、約4か月後に迫った東京五輪、そしてパラリンピックを計画どおりに開催できるとお考えでしょうか。
 また、アメリカのトランプ大統領が言及された延期開催あるいは規模の縮小、中止となる可能性はあるのでしょうか。
 IOCがそうした判断をする場合のタイムリミットは何月のいつ頃かということも併せて、認識をお伺いします。

(安倍総理)
 我々、東京招致が決定した段階から、今年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、全力を挙げてまいりました。そして、そのオリンピック・パラリンピックにおいては、アスリートの皆さんや観客にとって安全で安心な大会となるように、感動を与える大会となるように、正に日本全体、ワンチームとなって力を尽くしてきたところでありますし、現在も準備を進めています。
 来週にはいよいよ聖火を日本に迎えることになりますし、私自身、26日には福島を訪れて、聖火リレーのスタートに立ち会わせていただきたいと考えています。
 IOCのバッハ会長は、予定どおり本年7月24日の開催に向けて、オリンピックの成功のために、我々は全力で努力すると発言をしておられると承知をしておりますが、また、このIOCとWHOは緊密な連携の下で状況を注視していると承知をしておりますので、我々としてはそうした方針の下で、IOCを含めた関係者と緊密に連携を取って対応していくことに変わりはありません。
 また、トランプ大統領には、昨日、私からオリンピックの開催に向けて努力をしている旨を説明をいたしまして、大統領からは、透明性のある努力を評価するという発言がありました。その上で、オリンピックの成功に向けて日米で協力をしていくということでも一致をしたところ、緊密に連携をしていこうということでも一致をしたところであります。
 延長や中止については、首脳会談では一切、話題にはなっていないということでありますが、いずれにせよ、今後ともIOCともよく連携をしながら、また、当然、IOCもWHOと緊密に連携をしているわけでありますから、我々としては、とにかくこの感染拡大を乗り越えて、オリンピックを無事、予定どおり開催したいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、これから幹事社以外の方から御質問を頂きますので、御希望の方、挙手をお願いいたします。
 では、野口さん。

(記者)
 毎日新聞の野口です。  水際対策についてお尋ねします。中国湖北省滞在の外国人の入国拒否の措置、今年の2月1日から行いましたが、その後、中国全土からの入国制限は3月5日でした。既にそのときには国内で感染が広がっていた状況なのですが、1月初め頃、中国政府が感染の情報を統制していた可能性も指摘されていましたが、今から振り返ると、入国制限をした時期というのが遅かったのではないかという反省はあるでしょうか。  あと、その判断の際に、中国の習近平国家主席の訪日があるので配慮したというのも判断の基準になったのでしょうか。お願いします。

(安倍総理)
 まず初めに、習近平国家主席の国賓訪日が予定されていました。この国賓訪日が、この中国に対する様々な制限に対して影響を与えたのではないかということがよく指摘をされていますが、そんなことは全くありません。政治、行政の最大の使命は、国民の健康と命を守ることであります。それを最優先に判断をしてきたところであります。
 そして、水際対策については、日本時間の1月31日未明のWHOのPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)宣言を受けて、新型コロナウイルス感染症を、感染症法上の指定感染症に指定したほか、無症状感染者が生じた事実も踏まえ、前例のない対応ではあったものの、入管法に基づく入国拒否措置を講じることとしたところであります。
 これまで諸外国における感染者数や移動制限措置の動向等を踏まえて、対象地域を順次拡大をしてきたところでありますが、引き続き状況を注視しながら分析をし、機動的な措置を躊躇(ちゅうちょ)なく発動していく考えであります。
 我々としては、言わば水際対策においては、適切に判断してきたと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、次の方です。
 それでは、ピーター。

(記者)
 ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申しますけれども、先ほど景気対策のお話をされているときにちょっと思い付いたのですけれども、景気対策の一環として、例えば消費税を一時的に5パーセントに下げるといったような案を聞きますけれども、その消費税の引下げについて、どのようにお考えですか。

(安倍総理)
 今回の感染症が経済に与えている影響については、甚大なものがあると考えています。その中で、また世界中のマーケットに動揺が見られるわけでありますが、各国当局、そして日本銀行とも緊密に連携をしながら、必要とあれば、G7、G20の合意に沿って適切に対応していきたいと考えているところでありますが、自民党の若手有志の皆様からも、この際、消費税について思い切った対策を取るべきだという提言も頂いているというふうに承知をしていますが、今回の消費税の引上げ、昨年の引上げについては、全世代型社会保障制度へと大きく転換していくために必要な措置であったということは申し上げてきたところでありますが、今、この経済への影響、相当な影響があるわけでありますし、しかし、その中で我々はしっかりと雇用を守り抜き、この成長軌道に、確かな成長軌道に戻していかなければならないわけでありまして、何をすべきかということについては、こうした提言も踏まえながら、そして、世界経済の動向を注意深く見極めて、様々な可能性を想定しながら、今後も必要、かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたいと、こう考えています。

(内閣広報官)
 それでは、後段の方の女性の白いお召し物の方。

(記者)
 フリーランスの安積といいます。
 先ほどの経済対策なのですけれども、大体どのぐらいの規模の対策をされるというように予想していらっしゃるでしょうか。コロナだけではなくて、消費税増税、それから株安というような三重苦の状況なので、かなり大規模なものじゃないと効果的ではないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

(安倍総理)
 現在、年度末を迎える中にあって、4,300億円の財政措置、そして1.6兆円の金融措置を講じたところであります。そしてさらに、先ほど冒頭、発言させていただいたように、今の段階においては、感染拡大を阻止をするために全力を尽くしていきたいと、こう思っておりますが、その後においては、何とか経済を安定した成長軌道に戻し、そして国民の皆様の中に活気が戻り、笑顔が戻るように、思い切った、大胆なメッセージ性の強い対策をしていかなければならないと考えています。そのため、具体的にどういう対策を打っていくかということにおいては、与党とともに練り上げていきたいと考えています。
 これは国内だけではなくて、今、世界経済全体が相当、動揺しているわけでありますから、日本だけではなくて、世界各国、G7、G20とも協力をしながら、この経済の状況に対応していく必要があるのだろうと、こう思っています。その際は、いずれにいたしましても、必要なマクロ政策、経済財政政策を打っていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、佐藤さん、手を挙げていますか。

(記者)
 北海道新聞の佐藤です。
 総理、先ほど場合によっては外出もというお話がありましたけれども、感染者の多い北海道は知事が法的根拠のない緊急事態宣言を出して、毎週末、外出自粛を要請しています。市民生活が制限されて、経済も被害を受けています。こういう現状をどう見ていられるかということと、対策をどうするか。あと、北海道も含めて国民が聞きたいのは、コロナの収束の見通しはどうなのかということと、4月から子供たちが学校にしっかり行けるのかということだと思うのですけれども、総理の口からそういう見通しをお答えいただければと思います。

(安倍総理)
 まず、北海道においては、鈴木北海道知事を始め、北海道の皆様の新型コロナウイルスへの闘いについて敬意を表したいと思っています。また、北海道の対策については、専門家がその効果について、3月19日を目途として公表する予定があります。今後の対応は、その見解を踏まえることが大切ではないのかなと、こう思っています。
 また、この際、加えてお答えをさせていただきますと、例えば今、北海道において新たに感染者が出てくる中において、大変、道民の皆さんも不安なのだろうと思います。特にマスクについてでありますが、北海道6市町村の市民の方に直接お届けをする取組を行っておりまして、さらに、政府が買い上げたマスクを介護施設等や医療機関に配布をしていく考えでありますし、道民の皆様の健康を守る措置については、政府としても北海道と協力をしながら進めていきたいと思っています。
 その中において、臨時休校をしている、休業をしている今の状況がいつ解除されるのか、これは本当に子供たちもそうでしょうし、御両親も学校関係者も大変関心を持っておられると思います。率直に言って、このウイルスについては未知の部分も多いわけであります。今後、推移は予断を許さない部分もあるわけでありまして、感染の現状や感染が発生した事例などについては、しかし他方、冒頭、申し上げたように分かってきたところもあるわけであります。
 ですから、今、我々はいつこの感染が収束するか、残念ながら今、私がここで申し上げる状況にはないわけでありますが、我々としては、最初に申し上げたように、できる限り感染が爆発的に広がることがないよう、全力を挙げています。そして、なるべくそのピークを後ろに倒すように努力をしている。なぜやっているかということについては先ほど御説明をさせていただいたところでございますが、その中で、各地域における感染の状況等も踏まえながら、先ほどの学校をどうするかということでございますが、専門家の意見を聞きながら、再開の判断をしていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、菅原さん。

(記者)
 日本テレビの菅原です。
 先ほど総理の御発言の中で、割と近い時期の経済対策の話で、生活に不安を感じている方々への当面の対策を講じるというふうにおっしゃったかと思うのですけれども、これは、具体的には、資金の援助であったりとか、どういったものをイメージされているのかということと、あと、いつ頃から、その対策は利用可能になるのかというのは、どのようにお考えでしょうか。

(安倍総理)
 景気の悪化について懸念が高まっています。例えば観光関係の方々、飲食店等々の方々は、急速に状況が悪くなっているということは、我々も承知をしております。その中で、仕事がなくなるという状況に直面をしておられる方々もたくさんおられます。
 そうなりますと、電気料金など公共料金の支払いすら難しいという方々も出てこられることが懸念をされるわけでありまして、そしてまた、所得が大きく減少するなどによって、そうした不安を感じておられる皆様への手当について、速やかに検討していきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、最後の1問にさせてもらいます。手短にお願いします。
 では、鹿嶋さん。

(記者)
 フジテレビの鹿嶋です。学生の就職についてお聞きします。
 新型肺炎の影響によりまして、内定取消しだったりですとか、入社延期の不安など、正に来月から社会に出ようとする多くの学生の皆さんが不安を抱えていると思います。
 政府は企業側に対して、特段の配慮を取るよう要請していると思いますが、業績が悪化している企業などは、苦しい判断を迫られる可能性もあると思います。政府はこうした不安や懸念に対して、どのように今後、対応していくのか、具体策があれば、教えてください。

(安倍総理)
 企業において、今の状況を踏まえて、新卒者の採用について見直しの動きがあるということは承知をしております。
 しかし、この段階において、採用見直しをしなければいけないというのは、企業においてもよっぽどの状況に立っているのだろうなと思います。正に、そういう状況になって、企業としても大変苦渋の判断をしなければならない。
 もちろん、その中で、学生の皆さんにとっては大変なショックであろうと、動揺もしておられるのだろうと思いますが、社会人としてのスタートラインに立つ人生の節目に、こうした事態に直面した学生の皆さんの痛みについては、これは察するに余りあるものであります。
 3月13日には、経済団体等を通じて、企業の方々に新卒の採用内定者の取扱いについて、特段の配慮をお願いをしたところであります。
 一度決めた学生の採用を見直す企業の中には、事業活動を縮小せざるを得ないといった厳しい事情を抱えているところもあるだろうと考えられるわけでありますが、政府としても雇用の維持と事業の継続を当面最優先に、全力を挙げて対応しているところでありますが、支援を講じております。
 新規採用に協力をしていただいた企業には、雇用調整助成金の特例により、支援の手立てを講じたところでありますが、これは6か月間、雇用をしていなければ、今までは、仕組みとして手立てを打つことができなかったのでありますが、新入社員の方にも適用されるようにしたところでありまして、そうした対応もしっかりとやっていきたいと考えています。そうした手立てを講じたところでありますが、学生の皆さんの前途も考慮して、今は何とか予定された採用を実現をしていただきたいと、我々は考えております。我々も、こうした支援をしていく考えであります。
 学生の皆さんには、いろいろと不安を感じておられるでしょうが、政府としても、できる限りのお手伝いをさせていただきたいと、こう思っているところでございまして、企業側にも是非しっかりと取り組んでいただきたいと考えています。
 経済において、何といっても政治の最大の使命は、雇用を確保することであります。我々もそれをこの7年間、最大の命題として取り組んできたところでありまして、今、この厳しい難関においても、とにかく雇用を守る、守り抜くという決意で、あらゆる手段を講じていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 以上をもちまして、記者会見を終わらせていただきます。すみません、ちょっと予定が来ておりますので、終わらせていただきます。
 すみません、では、最後に1問だけお答えいたします。

(記者)
 雇用対策で、雇用労働者に対してと、フリーランスに対しての補償が、フリーランスの人は半分です。こういったことについて非常に疑問が出ておりますが、これについてはどのようにお考えですか。

(安倍総理)
 今回の臨時休校要請に伴い、新たに設ける助成制度については、正規・非正規を問わず、雇用されている方を対象とするとともに、従来の雇用施策では対象とはしていなかったフリーランスの方々にも対象を広げるという決断をしたところであります。
 ただし、こうした方々については、働き方や報酬の定め方が多種多様で、実際に支払われる予定であった金額を把握することが容易でない中において、迅速な支払いをすることを第一に考え、勤務実績に関わらず、一定の金額をお支払いすることとしたものであります。
 その水準については、雇用されている方々についても、勤務実績により支払水準は様々であることとのバランスも考えて、その上、その上限額の半額程度を定額でお支払いすることとしたものであります。
 併せて、緊急小口資金の特例を設けて、一時的な資金が必要な世帯への貸付額を引き上げ、償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯には、償還を免除することができるものとしているところであります。

(内閣広報官)
 どうもありがとうございました。

(記者)
 すみません。まだあります。

(内閣広報官)
 すみません。ちょっと。

(記者)
 まだあります。

(安倍総理)
 いや、まあ、いいんじゃない。

(内閣広報官)
 では、東岡さん、どうぞ。

(記者)
 朝日新聞の東岡です。
 緊急事態宣言ですけれども、これは私権の制限につながる以上、総理や政権に対する信頼というのが非常に重要になってくると思います。しかし、黒川検事長の定年延長問題では国民の知らないうちに解釈が変更されていました。しかも、それが口頭決裁という手続でした。国会の答弁も虚偽でした。こうしたことから、今、政権への信頼が非常に失われている状況ではないかと思っています。
 その信頼を回復するためにも、黒川検事長の定年延長の閣議決定を取り消す、あるいは口頭決裁で解釈を変更したことを撤回する。こうしたことは考えておられませんでしょうか。

(安倍総理)
 法務省において、人事においては法務省として判断をされたものでありまして、これは国会で繰り返し森法務大臣も答弁をしていると承知をしておりますが、それを受けて閣議決定をしたものでありまして、適切な判断だったと、こう考えております。
 それと、言わば緊急事態の宣言を出すということは、正にこれは国民の命を守らなければいけないという大きな判断をするわけであります。それはそう簡単な判断ではないわけでありまして、だから、先ほど申し上げましたように、より透明性を持っていく。もちろん、専門家の皆様の御意見を伺った上で判断をしていく。そして、国民の皆様にどうしてそういう判断に至ったかということについて納得をしていただくことが必要だろうと思います。私権の制限等がありますから、その際にはこうした形で記者会見を私自体が開いて、丁寧に御説明をさせていただきたいと、そう考えております。

(内閣広報官)
 それでは、すみません、全員指したいのですけれども、あれですから、あと2問にさせてもらいますから。
 同じ会社の方が手を挙げられた方はちょっとすみません、やや劣後するかと。
 じゃあ、七尾さん。

(記者)
 ニコニコ動画の七尾です。どうぞよろしくお願いします。
 先ほどのやりとりの中で経済、やはり経済問題が非常に国民は気になっています。財政出動、例えば米国の非常事態宣言では5兆円余りの財政出動が可能になります。
 こうした中、先ほどの質疑、一部やりとりあったと思うのですが、今後、その第3弾の緊急経済対策を策定するという、そういう理解でよろしいでしょうか。そしてまた、その実施の時期のめどについては、総理、どうお考えでしょうか。

(安倍総理)
 先ほど申し上げた、言わば、この生活に不安を感じておられる方々に対して直ちに対応しなければならないという対策もあります。それとは別に、この現下の経済情勢、その甚大な影響が経済に出ています。これは世界経済においても大変な動揺が見られる中において、マクロ経済的にもどのような対応をしなければいけないのかということについては、今、私が直ちに金額等々について具体的なことを申し上げることはできませんが、そうしたマクロ経済におけるインパクトに対応できるに十分な対策を、対応をしていきたい。具体的中身につきましては、政府・与党において練り上げていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、最後の1問にさせていただきます。
 ちょうど真ん中の男性の、素顔の方。すみません、お名前と所属があるのかどうか、すみませんが、明らかにしていただいて。

(記者)
 インターネット報道メディアIWJの代表で、ジャーナリストの岩上安身と申します。よろしくお願いします。
 今回の特措法に盛り込まれた非常事態宣言。これが発令されたとき、私権が制限されるということですけれども、報道、それから、言論の自由、ここは担保されるのでしょうか。
 また、総理は改憲に大変熱心でいらっしゃいますけれども、自民党改憲草案の中には9条の改憲と並んで緊急事態条項が盛り込まれております。今回の特措法の緊急事態宣言が一つの布石になって国民を慣らし、その後にこの緊急事態条項を導入するのではないかという懸念があります。これは大変強力な内容で、安倍独裁を可能にするような内容を含んでおります。その点について、是非お答え願いたいと思います。

(安倍総理)
 まず、報道の自由は守られます。これは明確に申し上げておきたいと思います。
 それと、言わば報道の内容を変えるようにお願いをするといった答弁については、それは訂正をしたというふうに承知をしております。既にですね。
 そして、この緊急事態宣言については、先ほど申し上げましたように、これは国民の、この正に生活、そして健康と命を守るために、これは発動を宣言をするわけでありますし、これは各都道府県に、言わばそういう措置を取っていただくように、これはやっていただくということになるわけでございまして、これは我々が独裁するということでは全くないということであります。
 それと、これと自民党の改憲案とは全く別のものであろうと思いますし、そもそも憲法改正というのは3分の2の発議があって、さらには国民の皆様の国民投票によって過半数の皆様の賛成を得て成立するものであります。まさに国民の皆様が決めるものだということを、どうか御理解をいただきたいと、このように思います。

(内閣広報官)
 どうもありがとうございました。以上をもちまして、記者会見を終わらせていただきます。
 皆様の御協力、感謝申し上げます。ありがとうございます。

総理の演説・記者会見など

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