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まるで日経は中国の立場―米「台湾旅行法」を警戒、日台の安保は度外視か

■「危ない台湾問題」と警鐘を鳴らす日経

日経は三月八日、「米中緊張、貿易戦争より危ない台湾問題」と題するワシントン支局長の論説を配信。米国のトランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の意向を表明したのに中国の李克強首相が不快感を表明したのを受け、「世界で1位、2位を争う経済大国が、貿易戦争に突入するのはあまりにも危険だ」とする一方、さらには「しかし今の米中間には、それ以上に心配な問題が持ち上がっている。台湾を巡る緊張の再燃である」と警鐘を鳴らす内容だ。

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米国の「米台高官の相互訪問などを促す『台湾旅行法案』」に懸念を寄せたのだ。

当時この法案は一月に下院で、二月には上院でそれぞれ全会一致で可決され、あとは「トランプ氏が署名すれば成立する」という状況だった。

―――もちろん、トランプ氏が中国との衝突回避を最優先し、署名を拒否する可能性は残る。

論説はそのように書き、署名の拒否に一縷(?)の望みを掛けていたが、しかしその後十六日になり署名は行われ、同法は成立。実際に中国側は猛反撥を見せているところである。

■緊張を高めるのはトランプ大統領か

論説は次のように論じている。

―――米国が中国と国交を正常化し、台湾と断交したのは1979年。以来、中国大陸と台湾がひとつの国に属するという「ひとつの中国」政策を踏襲し、台湾との人的交流を控えてきた。

―――米議会の台湾旅行法案は、その均衡を破る恐れがある。(中略)中国外務省の華春瑩報道官は「ひとつの中国の原則を逸脱している。断固として反対する」と非難した。

―――トランプ氏は大統領就任の直前に台湾の蔡英文総統と電話でやり取りし、会談の事実を公表して物議を醸している。その後は北朝鮮の核開発阻止や貿易不均衡の是正に対する習氏の協力を引き出す狙いもあって、ひとつの中国政策を堅持してきた。

―――だが、思うように動かないライバルにしびれを切らし、ここにきて圧力やけん制のレベルを上げ始めたようにみえる。

―――安倍晋三首相が旗を振る「インド太平洋戦略」に相乗りし、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰をちらつかせ、様々な貿易制裁に動くトランプ氏。ひとつの中国政策までも取引材料に使い、習氏から譲歩を引き出そうとする可能性は排除できない。

要するに論説は、トランプ氏は「習氏の協力を引き出す」ことなどのためだけに「一つの中国」政策を「取引材料」にし、いたずらに緊張を高めようとしていると言わんばかりだ。

■トランプ氏の「取り引き」問題ではない

しかし緊張はすでに、中国によって高められているのである。

論説は、一方でこんなことも書いている。

―――問題はトランプ氏が署名するかどうかだ。東・南シナ海への進出や広域経済圏構想「一帯一路」などを通じ、既存の国際秩序に挑む中国への警戒感は強まっており、米議会と歩調を合わせて揺さぶりをかけるとの観測も浮上している。

ここにもあるように、米議会が台湾旅行法案を議会は可決したのは、増大する一方の中国の脅威に対処するため、戦略的要衝たる台湾との関係強化を図らなければらなないと判断したためなのだ。そしてトランプ氏は十六日、結局はその議会と「歩調を合わせ」たのだった。

仮にトランプ氏が署名を拒否しても、議会だけで台湾旅行法を成立させたことだろう。つまりトランプ氏の中国との「取り引き」如何ではないのだ。それがどうあれ中国の脅威が高まる一方である限り、この法律は誕生したのである。

■日本メディアの「一つの中国」への誤解

論説は、米国が「中国大陸と台湾がひとつの国に属するという『ひとつの中国』政策を踏襲し」てきたが、トランプ氏はその政策を「取引材料」にするのは軽率だとでも言いたいようだが、ここで日経もまた、他の日本メディアと同様の重大な誤解に陥っているのがわかる。

米国の「一つの中国」政策を「中国大陸と台湾がひとつの国に属する」と考えるものとするのが間違い、誤報なのである。

「ひとつの国に属する」というのは、中国が掲げる「一つの中国」原則のことだ。それは、台湾併呑という国家目標を正当化するためのでっち上げ宣伝にすぎず、米国の「一つの中国政策」はそうしたフィクションを受け入れるものではないのである。

同政策の内容について米国はしばしば、「米中間の三つのコミュニケ、台湾関係法、六つの保証から成り立つ」などと説明するが、それを簡単に言えば「中華人民共和国だけを中国政府と承認するが、台湾はその一部とは認めず、事実上の国家として遇する」といったところなのだ。

■米国の台湾政策は変わっていない

しかし中国はそれが許容できない。そこであたかも「一つの中国」政策とは「一つの中国」原則に基づくものだとの虚構宣伝を繰り返している。それに日本メディアは惑わされているのか、それとも中国に媚びて惑わされたふりをしているのか。いずれにせよこれは日本の中国報道が抱える深刻な問題と言える。

もっとも米国も従来、中国の「一つの中国」原則にでき得る限りの配慮を示して来た。「台湾との人的交流を控えてきた」のもその一例だ(日本も同じような配慮をしてきた)。しかしアジア太平洋地域に及ぼされる中国の脅威がかつてないほど高まりつつある今日、そうした配慮は中国覇権主義を励まし、台湾を委縮させるだけで逆に危険であるとの現実的な判断があの国では働いたわけだ。

かくして台湾旅行法が生みだされた。上院での法案には台湾を「国」と呼ぶ記述も見られるが、しかしそれは決して米国の「一つの中国」政策を変更するものなのではないのである。

たしかに論説の言う如く、中国側は「ひとつの中国の原則を逸脱している」と、まるで米国が約束を破ったかのように大騒ぎし続けている。しかし繰り返すが、米国はその「原則」なるものをいまだかつて認めたことはない。

■なぜ中国と一緒に米国を牽制する

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台湾旅行法成立後、初めて訪台した米国高官はウォン国務次官補代理(左)。蔡英文総統と同席した

さて、中国の一方的な海洋進出や「一帯一路」構想に対抗する「インド太平洋戦略」だが、米国務省でこの戦略を担当するアレックス・ウォン次官補代理が二十日、台湾を訪れた。台湾旅行法成立後、初の米高官の訪台だ。二十一日にはイベント会場で蔡英文総統と同席し、「台湾と米国は共にインド太平洋の秩序作りに貢献できる」とスピーチし、両国の関係強化を訴えた。当然だろう。「インド太平洋戦略」に台湾の存在は欠かすことはできないのだから。

もともと対中強硬派で知られるウォン氏だが、この日は何に遠慮することもなく正論を展開し、台湾で歓迎を受けている。

もちろん中国はウォン氏の訪台にも抗議したが、その内容たるや相変わらず「ひとつの中国」云々。目下のところ、そうした言いがかりで米国を罵るのがせいぜいらしい。

もっとも「中米関係や台湾海峡の平和と安定が深刻に損なわれるぞ」との警告を付け加えるのも、毎回忘れることはない。

要するに「我が国は怒らせる気か。緊張を高めて好いのか」との米国に対する身勝手な恫喝であるが、何だか今回の日経の論説も、その中国と同じ立場から、「トランプ大統領は中国を怒らせ、緊張を高めるな」と牽制しているように見えなくもない。

だいたい中国のこの手の恫喝には、各国メディアなどを慌てさせる目的もあり、日経はそれに乗ってしまっているのではないか。少なくともトランプ氏に迷惑顔をするに急なあまり、中国の侵略、併呑を望まない台湾の人々や、その台湾とは一蓮托生の日本の安全保障は度外視した内容と言え、日本人が読んでもあまり役に立たないばかりか、むしろ誤った認識を与えてしまうかも知れない。

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3・24上野「台湾正名」街宣・署名活動
~Taiwan is not Chinese Taipei ! 東京五輪では「台湾」の名で参加を!

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日時 平成30年3月24日(土)13時00分~16時00分
場所 京成「上野駅」正面口前付近(西郷隆盛像階段下)
内容 演説、チラシ配り、署名集め
主催 台湾研究フォーラム
協力 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
連絡先 070-6484-2624/080-7796-6353

東京都議会に対する台湾正名請願署名にご協力下さい!
http://www.ganbare-nippon.net/PDF/2020taiwanshomei
Source: 台湾は日本の生命線!

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