去る2月24日、国立劇場で開かれた「天皇陛下御在位三十年記念式典」は多くの国民に感動を与えた。三浦大知氏らとともに式典に出演し、皇后陛下作曲の「おもひ子」を歌ったソプラノ歌手の鮫島有美子さんが式典の裏側を告白した記事が、3月14日発売の週刊文春創刊60周年記念特別号『秘話とスクープ証言で綴る 美智子さまの60年』に掲載される。
「私は、十年前の『天皇陛下御在位二十年記念式典』にも出演させていただいたのですが、今回はより厳かな雰囲気がありました。間もなく平成が終わり、両陛下のこうした式典は二度とないのだという寂しさのようなものが会場全体にありました。涙を流された方もたくさんいらしたようです」
出番を終えた鮫島さんや三浦大知氏ら出演者は、両陛下にご挨拶するために舞台袖で待機していた。舞台の様子は見えなかったが、お言葉を読まれる陛下の声だけが聞こえてきた。
「陛下のお心のうちを思いながら、厳粛な気持ちでおりましたところ、ふとお言葉が途切れ、皇后さまの『違うんですね』というお声がしました。その後、何度も報道されましたように、皇后さまが原稿の順番が違ってしまったことに気付かれ、お手を添えられた瞬間でした。お二人の長い歩みが偲ばれ、胸に温かいものが広がるような気持ちがいたしました」
「それから、両陛下は退場されるときに私たちの前を通られて、『今日は本当にありがとう』とおっしゃってくださいました。皇后さまの『ありがとう』というお言葉に、長い年月の様々な思いがこめられていることが感じられ、万感迫るものがあり、胸が詰まって涙が出そうでした」