大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」。民意を問うべく、大阪維新の会代表の松井一郎府知事と吉村洋文大阪市長が辞職に踏み切ることになりそうだ。両氏が入れ替わる「クロス選」の奇策で、4月の大阪府議選、同市議選などとの同日選に持ち込む構えだ。
都構想を問う住民投票実施をめぐり、煮え切らない公明党を、松井氏は昨年末から同日選をちらつかせて牽制してきた。だが3月1日、公明の支持母体・創価学会の原田稔会長が大阪に乗り込み、公明党府本部と協議。維新との「決裂」が決まった。
昨秋頃から「どんな展開になっても対応してほしい」と維新幹部に辞職の覚悟を伝えてきた松井氏。念頭にあったのは住民投票にこぎ着けた2015年の“成功体験”だ。慎重姿勢だった公明は、橋下徹前大阪市長と松井氏の出直し選や衆院選出馬という恫喝に屈し、白旗を上げたのだ。
松井氏と橋下氏は「一緒にハーレーで北海道にツーリングに行く」(維新幹部)濃い関係が続いており、今年1月のテレビ番組で橋下氏がクロス選に言及、その後松井氏が追認する阿吽(あうん)の呼吸を見せた。今回も脅しで譲歩を引き出そうとしたわけだが、前回と違い橋下氏という「ジョーカー」はなく「公明に舐められ、松井氏は万歳突撃する恰好になった」(府政担当記者)。