1月に行われた2019AFCアジア杯のサッカー決勝で、大韓民国の国民は果して誰を応援したのだろうか。韓国と共に東北アジアのトップ2を成す日本だろうか、それとも韓国が0-1で痛恨の敗北を喫した中東の新興国で強豪のカタールだろうか。
韓国サッカーが逆襲により59年ぶりの優勝の夢がもろくも崩れ去った中で「どこが優勝しようと知ったこっちゃない」と思った人が最も多かったはずだ。それでも多少なりとも関心を示していた人なら、きっと後者のように考えたことだろう。
1月末に幕を下ろしたテニスのメジャー大会「2019全豪オープンテニス」で、大坂なおみがグランドスラム2連覇を成し遂げると、日本は大騷ぎとなった。安倍首相が祝電を送ったほか、スポンサーを引き受けようとする会社が続出した。大坂は、アジア国籍の選手としては男女合わせて初のテニス世界ランキング1位に輝いた。
大坂なおみは、日本人の母とハイチ出身の米国人の父の間に生まれたハーフだ。ぱっと見た目は日本人よりもむしろ黒人に近い。
純粋な日本人が優勝しても、まるで姻戚が田んぼを買ったかのように悔しかったはずだが、さらには他国の血筋までが混じっていたため、韓国国内のネトウヨ(ネット右翼)たちが黙っているわけがなかった。何としてでも日本人というのを認めないために、レスの矢を浴びせ掛けた。
「日本人ではなく、アフリカン・アジアンだろう」「ビビン、チャンポンの血筋だね」
韓国人は、日本が相手なら、たとえ「じゃんけん」でさえも負けたくないと思っている。まるで中世の頃、互いに相手を占領できなかった英国とフランスのように地理的に近い上、35年にわたる日本の植民地という心痛い記憶がいまだに色濃く残っているため、勝ちたいと思う心はどこよりも強くなるほかない。
しかし、日本の快挙を何としてでも台無しにしようとする前に、われわれの姿からまずは見直すべきではないか。2006年にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の決勝で「ハーフ・コリアン」のハインズ・ウォードが所属チームのピッツバーグ・スティーラーズを優勝に導き、MVPに輝いた時のことを思い浮かべてみよう。
米国で黒人の夫から捨てられた後、息子のウォードを育てるために全ての時間をささげてきた韓国人の母、その下で人種差別や逆境を耐え忍んで最高のスターの座に上り詰めた後、母の功績をたたえたウォードの姿を見て、多くの人が韓民族特有の犠牲と勤勉さ、そして孝行を思い浮かべた。
ウォードの肌の色も大坂なおみのように黒人に近く、生活基盤があるのは米国なのに、われわれは韓民族の優秀さが再び誇示されたかのように誇らしく思った。ウォードが母と共に韓国を訪れると、まるで凱旋(がいせん)将軍のようにもてなした。
幼い頃から「単一民族国家」という言葉を何度も聞かされているからなのか、韓国人の血筋に対するこだわりは、地球がいくら広しと言えども特別な部類に属する。
一時女子ゴルフの「タイガー・ウッズ」として期待を集めたミッシェル・ウィ、平昌五輪のスノーボードで金メダルを獲得した「移民2世」クロエ・キム、世界銀行のキム・ヨン総裁は全て米国人なのだが、われわれには誇らしい韓国人、韓民族として通っている。
そうは言っても、韓国国内での逆差別は相変らずだ。法務部(日本の省庁に相当)が調査した資料によると、2018年10月現在で韓国国内に滞在している外国人数は全人口の4%に当たる200万人を突破した。2040年には多文化家庭(国際結婚家庭)が全体の20%に上るものと予想される。
一方、女性家族部による2015年の調査によると、多文化家庭の子どもたちが待遇を通じた差別、文化的な違い、集団によるいじめなど、多くの理由で学業を途中で諦める割合は増加する傾向にある。国威を発揚すれば誇らしい韓民族だが、そのまま平凡に過ごすなら「他の血を引く民族」といった扱いになる。
結局「大坂はチャンポン、ウォードは韓民族」といったように血筋に二つの物差しを当てはめるのは、その社会の偏屈さを拡大するだけだ。大坂が優勝した際のニュースに付いたレスのうち、あるネティズン(インターネット・ユーザー)の言葉が特に思い出される。
「大坂の写真を見ながら、純粋な血筋の日本人ではないと確認した私自身を恥ずかしく思います」
姜鎬哲(カン・ホチョル)スポーツ部部長 2019/03/03 05:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/03/01/2019030180046.html
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Source: U-1