賃金や労働時間を示す毎月勤労統計での不正調査問題。野党各党は現時点では、昨年一月のデータ補正時の厚生労働相だった加藤勝信自民党総務会長を追及しているが、政治部記者は「今後のターゲットは現厚労相の根本匠さんに移りますよ」と解説する。
根本氏は昨年12月20日に事務方から報告を受けていたにもかかわらず、翌21日に何事もなかったかのように昨年10月分の勤労統計を発表。19日後に不正問題を公表した。「この間の隠ぺい劇をしつこく野党や記者に聞かれると、どう説明しても苦しい」(別の政治部記者)。
厚労事務次官ら官僚のみの処分で片付けようとの動きが広がる中、当の根本氏は1月17日にインフルエンザ感染を公表し、病欠。不在の間に益々強まった逆風を受けながらの公務復帰となりそうだ。
さらに、安倍晋三首相に責任論が拡大する可能性もある。根本氏が報告を受けた翌日の21日には、問題を抱えたままの来年度予算案を閣議決定しているからだ。自民党関係者は「根本氏は首相に報告していたのか。仮に報告を受けていたのに首相が予算案を閣議決定していたとすれば、首相も同罪になる」と語る。
逆に根本氏が首相に報告していない場合、根本氏の大臣辞任で決着させれば済むとの見方もあるが、政治部デスクは「首相が根本氏のクビを切れるのか」と疑問視する。