ノーベル賞
〈イシグロ氏横顔〉ディランに憧れミュージシャン夢見る 日本語会話できない?
最初の長編「遠い山なみの光」、第2作「浮世の画家」の舞台に日本を選び、作家人生をスタート。以後は英国、東欧の想像の町、上海と舞台を変えた。しかし共通して、普遍的な人間の「現実認識と過去の記憶との葛藤」を描くものだと評される。
5歳で渡英後、英語で教育を受け、英国の大学に進んだ。大学時代は、くしくも昨年のノーベル文学賞受賞者である米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン氏に憧れてミュージシャンを夢見ていた。
世に出した長編小説のうち、失われつつある伝統的な英国を描いた第3作の「日の名残り」が1989年、英文学賞の最高峰ブッカー賞を受賞するなど、確固たる地位を築いてきた。
作品は多くの言語に翻訳されており、国際的な評価も高い。作家、村上春樹氏も英紙のインタビューで、最も好きな作家の一人としてイシグロ氏の名前を挙げている。日本語は平仮名が読める程度で、会話はほとんどできないとされる。執筆は「家で9時から5時半まで規則正しく」行うとインタビューに答えている。(共同)