世間の反対を押し切って国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明した日本政府。今後は沿岸での商業捕鯨を再開していくというが、脱退による影響は予想以上だ。
水産庁が今年2月に公表した「平成28年度食料需給表」によると、鯨の国内生産量は3000トン、輸入量は1000トンだ。対して、国内消費は3000トンなので残りの1000トンは在庫として保存されている。
要するに、いまでも鯨肉は十分足りているのだ。これ以上、漁獲量を増やしたところで、在庫が増えるだけなのではないか。
日本政府は2010年に、IWCから日本の沿岸での商業捕鯨を認める妥協案も提示されたが、捕獲枠を巡って合意には至らなかった。日本に鯨肉を輸出するノルウェーはIWC加盟国だが、独自に捕鯨枠を設け、商業捕鯨を再開している。沿岸での商業捕鯨を再開するのにIWCを脱退する必要性もないのだ。
なのに、なぜ国際的な反発を買ってまでIWCから脱退する必要があるのか。バカみたいなのは、IWCから脱退することで、かえって鯨肉の生産量が減る可能性があることだ。環境ジャーナリストの佐久間淳子氏はこう話す。
「商業捕鯨再開と聞くと、漁獲量が増えると思いますが、むしろその逆です。IWCからの脱退によって、日本は南極海や北西太平洋でおこなってきた調査捕鯨が国際法上できなくなり、さらにIWCに残るノルウェーやアイスランドからの輸入もできなくなります。鯨の供給量は大幅に減少するでしょう。どうして脱退という選択をしたのかワケがわからないです」
今回の脱退は、自民党の二階幹事長が主導したらしいが、後から「こんなはずではなかった」と悔やむことになるのではないか。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/244333
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Source: U-1