4.2有本香「 日本保守党の街宣へ〝難クセ〟東京15区補選、他党が求める「調整」行えば…憲法が保障「政治活動の自由」制限につながる恐れ」ZAKZAKより
「選挙」というものを初めて異なる立場で経験しようとしている。これまで、一有権者でしかなかった筆者が、いまは政治団体「日本保守党」執行部の一員として、候補者擁立の準備にあたっているためだ。
そのなかで奇妙なことが、たびたび起こる。直近では、他陣営から奇妙なクレームを受けたことだ。
本紙でも記事にしていただいたとおり、日本保守党は連日、東京都江東区内で街宣活動をしている。江東区の飯山あかり支部長の辻立ち演説は、複数のユーチューバーのチャンネルを通じて生配信され、それを見た方々が聴衆となって大勢訪れている。
街宣スケジュールは前夜のX(旧ツイッター)投稿で告知される。ありがたいことに聴衆の多さでは日本保守党が群を抜いていて、ある国会議員に「交通整理に気を使わねばならないのが大変です」と言ったところ
「ぜいたくな悩みですね」と返された。
最近、その街宣中に「他党」の地方議員という方がやってきて、「朝の辻立ちの場所について事前調整が必要だ。至急連絡を」と言ってきたという。ご本人にその意図はなかっただろうが、その場にいた人からは、いささか威圧的と感じたとも聞いている。
これには違和感がある。
まず憲法が保障する「政治活動の自由」という観点で言えば、各種法令に反しない限り、私たちが街頭で政治的主張を訴えることは文字通り自由である。民主主義の根幹とも言うべき、政治活動の制限には警察でさえ極めて慎重だ。
余談だが、昨年11月の大阪・梅田での街宣の際、想定をはるかに超える数千人規模の聴衆が集まって街宣中断を余儀なくされたことがあった。このときでさえ、大阪府警・曽根崎警察署のご担当は繰り返し、「私たちは『政治活動の自由』を侵す意図はありません」と言っていた。
とはいえ、やはり常識や周囲への配慮は必要で、付近の商店や施設への事前のごあいさつなどは行っている。
何より私たちは前日に「明日の街宣スケジュール」を決めて、Xで告知している。
これまで他陣営とかち合ったこともあるが、現場でそれなりに譲り合い折り合ってきた。
翌日の天候はじめ諸条件を勘案して決める、これ自体、戦略と絡む作業だ。その決定の際に「他党との調整」という要素が必須として加わることはやはり避けたい。「調整」というと聞こえはいいが、そこに威圧的ニュアンスが加われば「制限」につながる恐れがあるからだ。
私は街宣活動を嫌いではないが、これが盛んなのも日本だけだろう。そもそも、他国の治安では道端での活動などままならない。一方、街頭で不特定多数の人への訴えをかくも熱心にしているにもかかわらず、日本の選挙の投票率はどの選挙でも下がり続けている。
ほかにも、日本特有の定番選挙グッズや手法があり、それらが肝心な投票率の向上や得票にいかに作用しているのかは疑問である。
資金もノウハウもない日本保守党は、独自の方法で戦うしかないというのが実情だが、今後の私たちの活動が、日本の選挙活動そのものにも一石を投じることができれば良し、である。 (ジャーナリスト)