スポンサーリンク

データはありません

第4回 小西洋之氏の政治資金の謎「真実を知るアスクル株式会社を取材」

令和電子瓦版(代表:松田隆)

 

小西洋之氏の政治資金の謎第4回です。

真実を知るアスクル株式会社は今回の件についてどう取材に答えたのでしょうか。

(君らもグルじゃないの?)的な失礼な質問にも丁寧に応じてくれたのが印象に残ります。

 

reiwa-kawaraban.com/politics/20230

小西洋之 政治資金の謎(4)アスクル守秘義務の壁

The following two tabs change content below.

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 小西洋之氏の政治資金の謎について、当事者以外に真実を知るのはアスクル株式会社である。アスクルが知り得る事実を明らかにすれば、この問題は一気に解決する。しかし、そこには守秘義務の壁が存在する。果たして今回の事案にアスクルはどこまで関与しているのかを考察した。

■アスクルの関与の有無

画はザビちゃん

  アスクルエージェントの麻布食品に支払った金額は、最終的にはアスクルに入るシステムになっている。もし、小西氏が麻布食品に支払った69万円余が実際にアスクルに入金されていなかったら(当然、マージンは抜いたものではあると思われるが)、政治資金収支報告書の虚偽記載で、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科されると思われる。

 取材を続ける中、アスクルがこの事案にどう関わっているかを知るのは困難であったが、こちらが問題とした金額が3年間で69万円程度だけに、その程度の金額でアスクルが積極的に資金を流用するスキームを作り出しているとは考えにくい。

 とはいえ、麻布食品は総理候補の河野太郎氏の実弟が代表取締役であり、また、河野太郎事務所はアスクル文具のヘビーユーザーであって2年間で184万2038円をアスクルエージェント(地元の企業)に支払っている。そうした状況から、アスクルのシステムを利用する資金の不正な流れがあったとして、それを黙認することで合意しているのではという疑いも正直、持っていた。

 取材しないことには真相に迫れない。小西氏に政治資金の謎があったとしても、アスクルが関わっている可能性は低いと見て、小西氏と麻布食品より先にアスクルを取材することとした。

■代理店に麻布食品は入っていますか?

 まず、アスクルに電話で問い合わせたが、メールの指定があったので、その後はすべてメールでのやり取りとなった。いただいた回答は記事内で公開を前提としているので、ここで示す。

⭐︎3月16日(木)松田→アスクル株式会社コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション(以下、アスクル)

【質問】御社の代理店、エージェントに「麻布食品(株)」が入っていますでしょうか。イエスかノーか、はっきりとお示しいただければと思います。(質問以上)

 アスクルエージェントは、2022年5月時点で全国で1163社(アスクルの回答から)登録されているそうで、代理店によってはHPで大きくアスクルエージェントとなっていると宣伝している企業もある。ただし、その一覧は公開されておらず、1163社全てを知ることは、アスクル社外の人間にはできない。これに対して、週明けに回答があった。

★3月20日(月)アスクル→松田

【回答】社内で検討させていただきましたが、本件に限らず個別の企業との取引有無について当社から開示することは難しく、ご回答差し上げることができません。(回答以上)

 ある程度予想はされた回答ではある。アスクルはアスクルエージェントと代理店契約を締結しているが、そうした商取引には通常、守秘義務が定められている。

 全く取引関係のない場合でも、その会社とは「関係がない」とすら言えないのはおかしな話で、その原則でいけば、取引のない暴力団のフロント企業との関係を問われた場合でも「取引有無」について開示は難しく、と答えることになりかねない。

 麻布食品はHPもなく、アスクルエージェントであることを外部に明らかにしていないことを考えれば、取引の有無にも守秘義務が及ぶとアスクルが判断するのは自然な流れである。

 念の為、その点を確認すべく、さらにメールで問い合わせた。

■なぜ「取引がない」と言えない?

⭐︎3月20日(月)松田→アスクル

【質問】個別企業との取引の有無を開示できないということですが、「有」の場合は、それは御社の取引の守秘義務に含まれるからいいでしょう。しかし、「無」の場合、答えられないというのは理解できません。

 少なくとも取引のない企業が、御社と取引があると称して政府への提出書類(政治資金収支報告書)で示している場合、それは虚偽の内容であるわけです。それは全く関係のない御社にとっては迷惑な話であり、「当社は全く関わりがない」ということは問題ないと思いますが、いかがでしょうか。取引の守秘義務について、社会的責任の範囲を考慮してご回答をいただきたいと思います。

 「取引が無い」について、イエスと答えることは何ら問題はないのではないでしょうか。もう一度うかがいますが「麻布食品は御社の代理店、エージェントになったことはない」というステートメントについて、「イエス」ですか。それとも、答えられません、ですか。そこを確認の意味でご回答いただきたく、お願い申し上げます。(質問以上)

★3月20日(月)アスクル→松田

【回答】繰り返しのご回答となり恐縮ですが「有無」も含めて、個別の企業との取引についてご回答することはいたしかねます。(回答以上)

 取引がないなら「ない」とはっきり言えるはず、だから言ってくれ、というのに対して答えられないのであるから、取引があると言っているに等しい。

 また、麻布食品は法人の目的に「文房具、事務用機器、家具、日用雑貨品、食料品等の販売」「前各号に附帯する一切の業務」とあり、この部分の登記は2009年(平成17)に変更(追加)されている。目的を加え、登記を経由したのであるから、その業務を行わない理由はない。実際に他の国会議員も麻布食品を代理店としていると思われる者もいる。そうした状況を考えると、アスクルと麻布食品の間には代理店契約が存在したと解釈すべきと、自分の中で一定の結論に至った。

■失礼な質問を投げかけ

 両者に契約関係がある前提であれば、次の問題は、仮に不正な取引を行なっていることを知っていても黙認する取り決めがあったのかどうか、という点である。ここについてはストレートに聞いた。

⭐︎3月20日(月)松田→アスクル

【質問】(1)麻布食品がアスクルの代理店と称して領収証を発行し、それを野党の政治家(立憲民主党の小西洋之代議士)の政治資金収支報告書(令和1~3年)に記載がなされていることを、御社は把握されていましたか。

(2)麻布食品がアスクルの代理店と称して上記の小西代議士の資金団体に対して領収証を発行し、それを政治資金収支報告書に記載するので、ご承知おきください、と麻布食品に関係する者から依頼を受けたことはありますか。(質問以上)

 この直接的な質問には以下のように回答があった。

★3月22日(水)アスクル→松田

【回答】(1)本件に限らず、個別のお客様が、アスクルのご利用についてどのような対外的な報告をされているかについて当社として確認することはいたしておりません。

(2)アスクルのご利用に関する対外的な報告書への記載についてアスクルに確認をいただくことはございません。(回答以上)

 もちろん、「黙認していました」などと言うはずもないが、実際、1000社以上と代理店契約を締結する中、それらの対外的報告を全てチェックするなど不可能。考えてみれば失礼な質問にも丁寧に答えており、企業によっては「反社会的な行為を行なっていることを前提にしたかのような質問には答える必要がない」などと、それ以上のやり取りを拒否するところもあると思われる。アスクルがそのようにしないのは「これ以上答えない」とすることが、多くの人に「何か言えないことがあるのだろう」と思われるリスクを考えたからかもしれない。

 アスクルの会社登記をとり、役員による関係する政治家への寄付などの実績がないかも調べたが、該当する例は見当たらなかった。

 以上の客観的状況を踏まえれば、もし、筆者の言うような政治資金に謎の動きがあった場合でも、アスクル株式会社は関与していないと考えるのが通常の思考であろう。記事公開後も取材に応じて可能な限りオープンな姿勢を保っており、途中経過とはいえ、筆者が推測する状況があったとしてもアスクルの関与の可能性は低いという結論に達した。

■頭を痛めている?アスクル株式会社

 以上のように考えると、アスクルにとっては、今回の問題はいきなり降りかかってきた厄災のようなもので、同社もどう答えていいか、頭を抱えたことであろう。筆者(松田)の推測では、その時点でのアスクルの立場は以下のようなもの。

①麻布食品は代理店契約を結び、アスクルエージェントとなった。

②一部では麻布食品と顧客との取引実態はあった。

③ただし、小西氏の政治資金収支報告書記載の取引は存在しない。

写真はイメージ

 以上は、あくまでも推測であるが、その場合、①、②で守秘義務が発生しているため、③の事実を把握できた場合、個別に事情を聞き、場合によっては不明朗な取引の存在を理由に代理店契約を打ち切ることはあるのかもしれないが、取材に答えることはできない。

 同様に、アスクル文具を1つでも購入したことがある顧客(小西ひろゆき後援会)との契約内容を明らかにすることにも通ずる。Web上での顧客との契約については「アスクルご利用規約」が適用され、その中には守秘義務は定められていないものの、契約内容、履行状況を勝手に公開することは信義則(民法1条2項)に反するおそれがあり、取材に応じて公開することは控えた方がいいという結論に達するであろう。

 麻布食品が法人の目的に文具の販売等を加え、アスクルエージェントになったことにより、私的契約で相手を縛れる結果となり、アスクル側が口を塞がれる結果となったと言うこともできる。

 このように現時点では、政治資金の謎の動きが認められる場合でも、アスクルは自社のシステムを利用された上に、私契約で守秘義務に縛られている状況と解釈するのが妥当という判断(推測)をしている。そう考えると、今回の件で最も頭を痛めているのは、実はアスクル株式会社なのかもしれない。

第1回に戻る)

(第5回に続く)

スポンサーリンク




ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

2,402人の購読者に加わりましょう

この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事