
衝撃ライブ「小西ひろゆきとコオロギ太郎がつながっていた???」
小西洋之 政治資金の謎(1)河野太郎氏の影
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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。総務省の文書をめぐり高市早苗氏を追及する小西洋之参院議員(立憲民主党)は今や時の人であるが、一方で、自身に謎の政治資金が存在する。文具の売買の形をとった資金の流れから、敵対する政党の政治家との接点が浮かび上がる。小西氏の政治資金の謎を追う連載の第1回は、事案の概略と、河野太郎内閣府特命担当大臣との繋がりに関してお伝えする。
■3年間で69万円余の流れ
小西氏に関する政治団体は2つあり、1つは小西ひろゆき後援会、もう1つは立憲民主党千葉県参議院選挙区第2総支部で、前者が同氏の政治資金管理団体として指定されている。前者の政治資金収支報告書は総務省に提出されており、過去3年分を見ることができる。
注目していただきたい支出項目は、例えば2021年(令和3)12月27日、備品・消耗品費での記載である。一例を挙げる。
「アスクル文具 43,426 R3/12/27 麻布食品(株) 東京都港区麻布台●ー●ー●(以下略)」
2021年の政治資金収支報告書には麻布食品(株)に対する支出が10項目あり、合計で32万1722円となっている。同様に見ていくと、2020年(令和2)は20万1335円、2019年(令和元)16万7896円で、遡れる3年間で小西ひろゆき後援会から合計69万953円が麻布食品に支払われている。一覧表にしたのでご覧になっていただきたいが、1か月の支出は最大でも4万3000円余で、5万円を超えていない。この事実は後々、意味を持ってくるので頭の片隅に留めておいていただきたい。
「アスクル文具」という表記は報告書の年によって微妙に異なるが、ほぼ同一である。文具に3年で70万円支出するのは一般人には理解し難い部分はある。コピー使用料、コピーリース料は別途支出、また、消耗品費、備品消耗品費という名目でビッグカメラ、イオンマーケット、ヨドバシカメラなども支出を受けており、麻布食品への支出はそれ以外の備品・消耗品のためと思われる。
■アスクル文具とは何か
一体、このアスクル文具とは何か。その点を説明しよう。アスクル文具とは、アスクル株式会社(本社・東京都江東区豊洲)が提供する商品。同社のホームページによると、1963年にプラス株式会社のステープル製造子会社として設立されたプラス工業株式会社を源流としており、1993年にプラス株式会社アスクル事業部として事業開始、2000年にJASDAQ市場に上場されている。
主な事業は、顧客からファックスやインターネットで注文を受けて文具などの商品を配送する、要はオフィス用品等の通販サービスである。ただし、ここで代理店(アスクルエージェント)が絡んでくる。膨大な数の商品代金の請求、代金回収を自前でやるのは限界があるのか、代理店を使うシステムができている。麻布食品はそのアスクルの代理店の1つという位置付けである。その仕組みを、アスクル統合報告書2022の図をもとに示すと、写真のようになる。
このようなシステムをアスクル(株)では「全国に営業所を配置する代わりに、全国の文具店などの販売店が『アスクルエージェント』として参加し、お客様の開拓や、与信・債権管理、お客様サポート業務を担い、アスクルと一体となってサービスを提供しています。」と説明する(アスクル統合報告書2022、P10)。
政治資金収支報告書が示しているのは、麻布食品が小西ひろゆき後援会に商品代金を請求し、その支払いを受けたという事実。そして、麻布食品はアスクルエージェントであるのが事実なら、時期は分からないがマージンを抜いて、アスクルに受け取った代金の支払いをすることになる。
麻布食品という法人名から文具を扱うことには違和感はあるが、同社の登記を見ると法人の目的に「文房具、事務用機器、家具、日用雑貨品、食料品等の販売」「前各号に附帯する一切の業務」とあり、文房具の販売に伴う代金の請求と料金の回収を行うことは業務の一環と言い得る。この部分の登記は2009年(平成17)に変更(追加)されており、その頃からアスクルに関する業務と同様の業務を行っていたのかもしれない。■HPなし役員構成も不明
この麻布食品はホームページもなく、本社はどこか、どのような業務をしているのか、どの程度の売り上げがあるのか全く分からず、役員の構成すらも分からない。幸いにも小西ひろゆき後援会の政治資金収支報告書に本社の住所が記載されているため、法人登記は簡単に取れる。
法務局で法人登記を取り、その役員構成を見ると意外な名前が出てきた。代表取締役として登記されている名前は以下である。
「河野二郎」
河野太郎内閣府特命担当大臣の実弟で、コネクタなどを主力製品とする日本端子株式会社の代表取締役として知られている人物である。麻布食品の取締役は河野二郎氏を含め3人。そのうち1人は河野典子氏で、河野二郎氏夫人と思われる(同姓同名)。要は河野一族のファミリー企業である。
顧客から代金を受け取るアスクルエージェントは、基本的にはアスクルが指定する。同社に問い合わせると「アスクルのWEBサイトからの新規登録の場合は、所定のルールに基づき、エージェントが決定されます。(1件ごとに人が内容を見て判断するということではなく事前に設定されたルールに基づいてシステム上自動処理されるようなイメージ)。また、アスクルエージェントの営業活動によって新規のお客様にご登録いただくに至った場合など、担当販売店、またはお客様からのご指定で特定のエージェントに紐づくケースももちろんございます。」(同社コーポレート本部コーポレートコミュニケーション)とのことであった。
そうなると、小西ひろゆき後援会が麻布食品をアスクルエージェントとしたパターンは3通り考えられる。
①小西ひろゆき後援会がアスクルに登録し、所定のルールで自動処理されたエージェントが麻布食品であった。
②アスクルエージェントの麻布食品が小西ひろゆき後援会に営業活動をかけて、アスクルに登録させた。
③小西ひろゆき後援会がアスクルに登録し、麻布食品をエージェントに指定した。
①のようなことは起こり得ないとは言わないが、偶然というより奇跡的な邂逅。また、そういう事情が分かれば「エージェントを代えてくれ」と申し出るのが普通であろう。②、③は政治的な背景を考えれば、ほとんど考えられない。
小西ひろゆき後援会と麻布食品の組み合わせは不可解と言う以外にない。
■小西ひろゆき後援会は本当に購買したのか
本当に小西ひろゆき後援会はアスクルから文具を購入したのか。何を買ったか分かれば、例えば、ボールペンを100本、替え芯を200本のように明細が分かれば、実際に購入したのであろうと推認できるかもしれない。
資金管理団体の場合、備品・消耗品費は1件5万円以上のものについては、当該支出の目的を政治資金収支報告書に記載しなければならない(政治資金規正法12条2項、19条の5の2)。
ここで思い出していただきたいのは、小西ひろゆき後援会による麻布食品への支出は1件につき最高で4万3000円余で、5万円を上回ったことは1度もないという事実。そのため、当該支出の目的、購入した商品の明細は提出されておらず、我々は小西ひろゆき後援会が、アスクルから何を買ったのか知ることはできない。
■麻布食品の取締役の寄付金60万円
小西ひろゆき後援会が買ってもいない文具の相当額を麻布食品へ、3年間で69万円余交付するなど、通常ではあり得ない。もし、そのようなあり得ないことがあるとすれば、69万円余はアスクルに行く以外、どこに行くというのか。実はここで、おかしな金の動きを観察することができる。麻布食品の取締役は3人で、河野二郎氏、河野典子氏以外にもう1人いることは前述の通り。それは「武川清志」という名で、2011年(平成23)に取締役に就任し、以後、重任を続け、2021年(令和3)5月に重任され、同年6月に登記されているため、現在も取締役とみられる。
この武川清志氏と同姓同名の人物が、2019年から2021年にかけて、毎年20万円を河野太郎氏の資金管理団体「河野太郎事務所」に寄付している。河野氏の政治資金収支報告書に記載されているもので、3年とも10月末に寄付され、3年間で合計60万円。ちなみに肩書は取締役であれば「会社役員」とするところであるが、「会社員」となっている。武川氏が同一人物であるとすれば、政治資金収支報告書を見た者には、同氏が会社の取締役であるということは分からない仕組みになっている。
■偶然の連続は奇跡的な出来事なのか
3年間で69万円余のアスクル文具代金は、政治資金収支報告書の通りに流れたとすると、以下のようになる。
小西ひろゆき後援会→(69万円余)→麻布食品(株)→アスクル(株)
しかし、上述の事実を考えると、あくまでも可能性の話に過ぎないが、以下のような資金の流れを考えることができる。あくまでも考え得るということであるので、ご注意いただきたい。
小西ひろゆき後援会→(69万円余)→麻布食品(株)→武川清志取締役→(60万円)→河野太郎事務所
もし、このような資金の流れがあるとすれば、政治資金収支報告書の虚偽記載で、政治資金規正法24条1号に抵触し、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科されるのではないか。小西ひろゆき後援会が3年間で69万円余の金員を麻布食品に交付し、そのうち60万円を同社取締役が、河野太郎事務所に寄付ーー。この荒唐無稽とも思える資金の流れを推認させる材料はある。その1つは河野太郎事務所もアスクル文具を大量に購入しているという事実である。
もし、麻布食品がアスクルエージェントとして機能しているなら、河野太郎事務所は実弟が代表取締役の会社を代理店として指名するはず。「お客様からのご指定で特定のエージェントに紐づくケースももちろんございます。」というアスクルの説明からも当然の選択であろう。
それがなぜ、麻布食品は河野太郎事務所の代理店にならず、よりによって対立する政党の代議士の後援会の代理店になっているのか。
もちろんそうしなければならない特別な事情があったのかもしれないが、普通に考えれば、麻布食品がアスクルエージェントではない、仮にアスクルエージェントになっていたとしても、事業の実態、実績がないからではないか。もしそうなら、実兄の所属政党と対立する政党の代議士(小西氏は無所属の時期あり)の資金管理団体の代理店になっているのは、アスクルエージェントとしての事業という本来の目的以外の目的があったのではと、誰しもが考えるであろう。
そうなると、まず調べなければならないは、麻布食品はどういう会社でアスクルとの契約関係は存在するのか、という点である。