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2023年3月11日号・百田尚樹のテレビでは伝えられない話 2023年3月11日号:ニュースに一言

2023年3月11日号:ニュースに一言

2023-03-11 12:35

     
    ●野球の国別世界一決定戦、第5回WBCが開幕しました。今大会には「最速完全男」佐々木朗希投手、「若き三冠王」村上宗隆選手などの国内最強メンバーに加え、海外組からは「唯一無二の二刀流」大谷翔平選手、「驚異の魔球使い」ダルビッシュ有投手らが参加しており、日本代表に対する期待はいやが上にも高まります。
    大会前の強化合宿や練習試合には身近で彼らの勇姿を一目見ようと多くの見学者が訪れたようです。一流選手はファン対応も一流で、求められたサインには時間の許す限り対応していました。特に普段はアメリカでプレーしているため、その機会がほとんどないダルビッシュ投手の人気は絶大で、彼の前には長い列が途切れることはなかったそうです。
    そんなダルビッシュ投手の心のこもったサインがあろうことかオンライン上のフリーマーケットに出品されていると聞いて呆れるとともに悲しくなりました。それも3万円以上の高値で取引きされているそうで、出品者が儲けるためにダルビッシュ投手の前にファンのふりをして並びサインを“仕入れた”のは明らかです。
    この手の転売のニュースでわたしが不思議に思うのは、それを買った人は本当にうれしいのでしょうか。「サイン」とはその書き手と直接向き合い一瞬でも交流した証しとなるもので、どこからか回ってきた本物かどうかも分からないものにはまったく価値を見いだせません。わたしも著書にサインを求められることがありますが、そのときは可能な限り「為書(ためがき=○○さんへ)」を添えるようにしています。それはせっかく対面しているのに黙ってなにもしないのはもったいない、「お名前は」と聞くことで少しでもコミュニケーションがとれればと考えるからです。サインの書き手は例外なく感謝と共に「大事にしてね」と願います。それなのに・・・。
    当のダルビッシュ投手は一連の転売について「逆にその人たちがもうかるんだったら別にいいと思うし、その分もっと書いたれって思ってるぐらいなんで。変にそういう人たちを避けて、本当に欲しい人に届かないっていうよりか、書けるだけ書いて、ほんとに欲しい人にこう届いてもらったらいいなっていう風には考えてますけど」とこれ以上ない素晴らしいコメントをしています。
    彼のプレーはもちろん、その人間性にも感服しきりです。ダルビッシュ選手は今回の日本代表の最年長でまさにリーダー的存在です。他の選手は有形無形問わず彼から多くのことを学んでいることでしょう。そんな日本代表、侍ジャパンをわたしは全力で応援します。
    ●神奈川県で23歳の女性会社員に性的暴行をはたらいたとして、55歳の男が逮捕されたというニュースがありました。
    この男は女性が勤める会社の社長を装い「あなたの体臭でクレームが来ている。小田原に良い病院がある」と電話をかけてきたそうです。てっきり社長からのものだと信じこんだ女性は小田原市内に向かいました。そこで再び電話があり「カラオケ店に男がいるから性的関係を持て。そうすれば体臭が消えるから」などと指示されたそうですが、セックスしたら体臭がなくなるなんてよくそんな見え透いたウソがつけるものです。しかし、女性は言われるままにカラオケ店の個室に出向いたといいますからわけがわかりません。
    飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのことで、そこにいた男にいとも簡単に“やられて”しまいました。否、女性は体臭除去のために自らその“施術”を受けたのかもしれません。その後、ようやく女性は「これはおかしい」と気付き警察に届け出たことで事件が発覚しましたが、なんとも呑気な話です。
    そもそも、被害女性は自分の会社の社長の声を知らなかったのでしょうか。それに「あんたは臭い」との指摘に失礼だと思わなかったのでしょうか。さらに行き先が病院からカラオケ店の個室に変わったことに疑問を持たなかったのでしょうか。体臭というデリケートな問題だけに報道されていないほかの何かがあるのかもしれませんが、それにしても不可解なことだらけの事件です。
    「そんなものに騙される人はいないだろう」と思うものでも必ず被害者はいます。神奈川県内では同様の手口による被害が他にも複数確認されているそうで、すごく真面目に何事もすぐ信じてしまう人は思いのほか多いようです。
    ●新幹線を無賃乗車した仙台市に住む42歳の無職の男が、詐欺未遂容疑で現行犯逮捕されたというニュースがありました。
    この男は神奈川県の小田原駅で150円の入場券を買って新幹線ホームに入り込み、「こだま」号に乗車して静岡、名古屋、京都、新大阪を通過し姫路駅までやってきました。そして改札口で「入場券をなくした」と、あたかも姫路駅で買った入場券を失くしたように言って本来なら1万4000円ほどの乗車料金の支払いを逃れようとしたのです。
    入場券とは見送りなどホームに入るために必要なもので、もちろん車両に立ち入ることはできません。ましてや目的地まで乗っていくなんてもってのほかです。そして、その入場券は要件が済んで改札を出るときに回収されるのですが、その時キップを失くしていても多くの場合は駅員に申し出て再度、入場料を支払えば通してもらえます。しかし、それはあくまで“本当に”入場券を失くした場合だけです。現代では入場券を買った時刻、またその券で改札を通った時刻もすべて記録されています。調べれば「失くした」との申告がウソかマコトかすぐに分かるのですから、いかに巧妙に騙そうとしてもうまくいきません。多分、この男もしどろもどろになって怪しいとにらまれたのでしょう。
    しかし、解せないのはなぜ彼の容疑が“詐欺未遂”なのかということです。小田原駅で捕まったのならまだ“未遂”もわかりますが、姫路駅ですから既に移動済みであり、どう考えても“未遂”ではありません。そして、仙台在住の男が神奈川県小田原にいた理由が笑ってしまいます。なんとこの男は熱心な「お城マニア」で仙台からバスで小田原市に入り小田原城を見学した後、次に姫路城を見たくなり新幹線に乗ったというのです。小田原城を見てたいそう感激したのでしょう。せっかく東海道まで来たのだからここはぜひ世界遺産・姫路城も見なければと進路を西にとったようですが、改札という関所を突破できなかったことで男の夢ははかなく散ってしまいました。
    そもそも、彼は大きな勘違いをしています。いくら姫路城が別名・白鷺(しらさぎ)城と呼ばれるからといって「さぎ」を歓迎しているわけではないのです。
    ●浜松市にある私立中高一貫校で、校内のサーバーがコンピューターウイルスに感染し、数年間分の生徒の成績や出欠状況、連絡先などのデータが閲覧できなくなっているというニュースがありました。
    そのためデータを紙で保存していない教員は、生徒の成績評定を記憶だけでつけなくてはならなくなったそうですが、全員の点数を間違いなく覚えている先生がどれほどいるのか。
    パソコンにより教育現場の事務作業は随分と楽になりました。かつては生徒の成績が書かれた紙を教室中に並べ高いものから順に5・4・3・2・1と評価付けしていたものも、現代では「並び替え」ワンクリックで完了です。すべてはパソコン画面の中だけで完結できるのですからこれほど便利なものはありません。その代わり今回のようにひとたびトラブルが発生すると何もできなくなるリスクもあります。「停電だからロウソクの明かりで」とはいかないのです。
    それにしても点数とはなんと残酷なものか。60点を合格点とすれば59点はたった1点足らないだけですが落第となります。そこには情の入る余地は一切ありません。さて、その絶対的な点数が不明で先生の記憶だけでつけられる今年の評価はいったいどうなるのでしょうか。サーバーが復旧した時に本来の点数より下をつけていたら責められることは確実ですからほとんどの先生は甘めの評価をすることでしょう。不測の事態で大混乱の先生に対し、生徒たちは案外喜んでいるのかもしれません。
    ●セクハラを受けた女性の代理人を請け負った弁護士が、あろうことか依頼人からセクハラで訴えられるという前代未聞のニュースがありました。
    これは演出家から受けたセクハラを実名で告発した25歳の舞台女優が演劇界や映画、芸能界のハラスメント撲滅の活動をする中でこの弁護士と知り合い自らの訴訟の代理人を依頼したところ、弁護士は観劇や裁判の打合せと称して女性を頻繁に呼び出し、断続的に身体を触ったり性的な言葉を伝えるなどのセクハラを行ない、遂には性的関係まで要求してきたというものです。
    原告は「20歳も年上で、演劇界の権威でもある被告弁護士に対して、不愉快に思いながらも強く拒絶できなかった」「『温泉も行く?』などと露骨に性的な誘いに対し『行かない~!!笑!』などと冗談めかした返信をしていたが、内心は非常に不快だった」「弁護士が路上でキスをしてきたが、突然のことで拒むことができなかった」「弁護士がハラスメント撲滅活動や自身の訴訟に影響があることから、苦痛に感じていても強く拒否できなかった」そして「性的関係を断っていたが、弁護士は受け入れなかった。その後、応じなければ仕事をやめるという圧力に屈して意に反した性行為に応じざるをえなくなった」と自身が受けた数々の屈辱を公表しています。
    それに対し弁護士は「女性から要求を拒むメッセージや言葉を受け取っていたのですが、私はそのメッセージや言葉を真摯に受けとめず、自らの都合のよい方向に解釈し、性的関係を誘う言動を続け、依頼を受けていた裁判の対応にまで言及して、その方を追い込み苦しめてしまいました」と全面的に非を認める声明を出しています。
    これを見てわたしは「さすが弁護士だ」と思いました。彼はこの争いは絶対に勝てないと悟り、判事の心証をよくしよう、あわよくば示談にしようと考え殊勝な謝罪文を出したのです。女性の言い分をみると落ち度とまではいわないまでも「男性を勘違いさせたのではないか」「本当に嫌なら拒めたのでは」とも思える部分があります。それなのに一方的に男が悪いなんてと感じる方がいるかもしれません。しかし、今回はこの弁護士が、いやすべてのハラスメント訴訟は訴えられた方が悪いのです。なぜなら“ハラスメント”は受け手の想いだけで成立するもので、受け手が「イヤ」と言ったらそれでアウト決定だからです。法律家である彼はもちろんそれを知っていますので早々に白旗を挙げたのでしょう。
    弱者を守ることに異論はありませんが “ハラスメント”と言えば何でも通る社会には違和感を覚えます。“ハラスメント”を盾に「わたしは弱者だ」と叫ぶ“強者”が跋扈することこそ強者と呼ばれている人に対する“ハラスメント”と思わなくもありません。
    仲間内では饒舌で周囲を笑いの渦に巻き込む友人が、部下や女性社員に囲まれている会社では寡黙な男に変身するわけがわかるような気がします。
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