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NHK関西熱視線「大阪の企業や人材、京都の町家が中国人に買われる」

2022年07月22日 (金)

7月22日放送かんさい熱視線【取材ノート】「安いニッポン」本当の魅力 グローバル企業 「ハイアール」幹部が語る日本人

 

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長引くデフレで、ここ30年ほとんど賃金が上がらない国、日本。
新興国を含め多くの国で賃金が上がり、日本の平均賃金はOECD加盟国の中で24位。お隣の韓国よりも安くなっています。今や日本の労働力は相対的に“格安”だと、海外企業が日本に進出するケースが増えています。
「安いニッポン」は世界にどんどん買われていくのか…。
日本でリクルート活動に力を入れてきた、中国の家電大手「Haier(ハイアール)」。世界160カ国で事業展開する、グローバル企業です。グループ副総裁で日本地域のCEOを務める、杜鏡国(と・きょうこく)さんにNHKは単独インタビュー。
日本人の能力の高さを認めた上で、「日本はもっと若者の収入を高くする政策をすべきだ」と本音も漏らしました。
世界的グローバル企業から見た、「労働力」としての日本人の魅力、そして日本が抱える「課題」とは。
(NHK大阪「かんさい熱視線」&「クローズアップ現代」取材班)

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世界トップクラスのシェアを誇る家電メーカー
ハイアールは1984年に中国で設立された家電メーカー・ハイアール。今から20年前、2002年に三洋電機との提携関係の形で日本市場に参入しました。2012年に三洋電機の白物家電部門を買収すると、外資メーカーながら研究開発・販売拠点を日本国内に設置。今、日本企業で働く優秀な若手技術者に次々とオファーし採用を進めています。
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「日本に進出した20年前と比べ、日本の労働力は変わってきている」

杜鏡国 副総裁(ハイアール)

20年前を振り返ると、日本の物価や人件費、固定費用は相当高かった印象があります。ただ、あれから中国を含めて東南アジアなど、もともと低賃金だった国でどんどん賃金があがっているので、現状それほど大きな差を感じていません。
そして、今も日本国民の資質は非常に高いレベルにあります。日本人は真面目で熱心で、毎日きちんとルールに従って生活や仕事をしています。
ハイアールグループには「現地化」という経営方針があります。人材を現地化し、商品を現地化し、経営戦略も現地化する。現在、中国の本社から日本に駐在している社員は、全体の2%未満。社員のほとんどが、日本で採用した日本人で会社を動かしています。日本市場に出す冷蔵庫や洗濯機はすべて、日本の市場を調査した上で、日本の研究拠点で「現地化」して開発されたものです。
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中国人経営者から見た日本人への評価

「日本のエンジニアの技術力 そして情熱に感動している」

杜鏡国 副総裁(ハイアール):
やはり日本の技術者は、すばらしい技術を持っています。さらにチーム精神や目標意識をもつことも、相当高いレベルだと思います。
そして日本の技術者の「仕事への姿勢」を語る上で、私には一生忘れられないエピソードがあります。2012年に三洋の白物家電事業を買収することが決まり、事業を譲渡する日に、扱っている33機種の商品の全てを新規開発した商品として新たに売り出す戦略を立てました。ただ当時、京都の研究センターは、まだ建設途中で内装もまだでしたし、窓ガラスもつけられていないような状況でした。しかし、日本人の社員のみなさんは、冬の氷点下の中、コートを着ながら開発にあたり、目標に向かって仕事をしてくれました。この場面は一生忘れません。本社からグループのトップも見に来ましたが、すごく感動していました。
日本の技術者のみなさんは、高い技術レベル・素質があり、目標に向かって仕事をする姿勢はすごく評価されています。

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「日本企業の課題は年功序列」


杜鏡国 副総裁(ハイアール):

日本人の、若い技術者の給料が低い理由は「年功序列」にあります。私たちは、これを時代に合わない習慣だと考え変えていくことに取り組みました。これは非常に苦労しました。

例えば、17年前、研究開発拠点で、当時34歳の社員を部長に起用しようとしたときのことです。当時彼はデザイン部門の社員だったのですが、企画案をまとめる仕事を担当したら高い能力を発揮できるだろうと私は感じて、ハイアールグループの考え方としては、部長になるべき人材だと思いました。こうした判断は中国では一般的です。ただ日本では、彼はまだ若い一般社員だったので、経営幹部の日本人のみなさんが反対しました。
日本の大手メーカーは年功序列というものをまだ深く意識していますよね。ただハイアールとしては、社員誰もが経営の立場に立つべき、能力や責任感を持つ社員は若くても昇進するのが当たり前です。34歳の社員を部長にするためには、経営幹部みんなの同意を取り付けるのに、とても時間がかかりましたし、納得できない人に対しては相当工夫して説明する必要がありました。
そして、当時からかなり時間が経って、今ではもう社内の意識は完全に変わりました。現在、物流部門の部長も一般職だった女性ですが、今の部長より目標を達成できると、自分から手を挙げて部長になりたいと、チャレンジしてくれたので、その精神を評価して部長になっています。17年前は非常に難しかったことですが、今では女性でも若くても部長になれる昇進制度ができました。

日本に求められる対策は

「日本に必要なのは若者の収入を上げること」

杜鏡国 副総裁(ハイアール):
私が率直に思うことですが、日本はもっと若者の収入が高くなるための政策をしなければならないと思います。少子化は消費の不振につながりますが、若者の給与をアップしないと対策は難しいでしょう。
先ほど言ったように、私たちは年功序列をなくし、インセンティブ、つまりボーナスは目標を達成している社員に対しては上限額なしで支給します。若者に、この会社で高い目標に向かって頑張れば、市場で価値が認められ、会社のためになる。個人としても、目標達成して収入も上がる。そして、会社も個人もウィンウィンの関係になるのです。

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「若い人を抜擢したら、年長者には別のポストも用意する」

杜鏡国 副総裁(ハイアール):
ただ、年功序列を変える上で、丁寧な説明や新しいシステムは必要ですね。若い人を部長に抜てきするということは、本来だったら順番にポストにつけるはずだった人が、昇進できなくなる。そうした人たちにも、新しい制度を作って違うポストにつけるようにしました。また、社員が将来に対して心配することのないよう、定年再雇用制度も作りました。そうした取り組みをすることで、若い人を抜てきしたら、先輩のみなさんもフォローして、協力してくださいとお願いしてきました。
やはり改革するためには、無理に制度を押し付けるのではなくて、人材を管理して運営する立場から、様々な立場の社員のことを考えて改革を進める必要があると思っています。
私たちはグローバル企業ですから、特に日本の社員と一緒に仕事をする際、日本人と中国人の文化や考え方を融合して、互いに深く理解することが重要です。資金で事業を買うのは非常に簡単ですが、成功するかどうかの決め手は文化の融合だと思っています。これまでハイアールが日本で成功できた理由はそこにあると感じています。

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「最も重要なのは人材に対する投資」

杜鏡国 副総裁(ハイアール):
日本市場には引き続き投資を続けることが重要だと考えています。ブランドに対しての投資や商品開発への投資もそうですが、一番重要なのは人材育成に対する投資ですね。社員にとってやりがいのある仕事、また家族に対しても自慢できるような仕事を通して、特に若者を育てる、早く有能な人材になれるように投資をすることです。
今、時代が変わるスピードが非常に速いです。どの会社も、自分たちが「成功している」とは簡単に言えません。会社に何ができるとかというと、時代に合わせて進歩すること。そういう会社しか生き残っていけません。私たちも日本社会にどのように合わせるのか、スピード感を持って正しく戦略を描けるのか。これは非常に重要だと思っています。今までの成功体験を捨ててでも、新しいチャレンジをする気持ちは、非常に重要だと思っています。

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