「順風満帆じゃなくて色々悩みながらやってきて、そういうのも乗り越えて、本当に頑張ってくれたと思います。あの子たちも、やっと帰って来られるんだなあって。去年の9月末にここ(北見市常呂町)を出てから、ほぼ半年ぶりかな」
イギリスとの決勝戦を見届け、顔を覆って涙交じりに語ったのは、カーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ(LS)」の吉田知那美(30)、夕梨花(28)姉妹の母・富美江さんだ。
「思い出すのは……トレーニングの取り組み方が変わったんですね。ジムだけでなく、常呂から(40キロ先の)網走まで自転車で持久力を鍛えたり。草がボーボーで『もう少し整備してくれたら』なんて言っていました。いつだったか、知那美に『日本のカーリング界で誰もやったことのないことをやっているんだから、頑張りなさい』とLINEを送ったんです。返事は……『そだねー』だったかな(笑)」(同前)
平昌五輪で銅メダルを獲得したLSが、北京の地で再び歴史を塗り替えた。
準決勝で予選首位のスイス相手に、スキップ・藤澤五月(30)がスーパーショットを連発。前日の予選最終戦で敗れた雪辱を果たす。決勝のイギリス戦では涙を飲んだものの、前回を上回る銀メダルを獲得したのだった。
「ナイスぅ〜」すぎる結果を残した彼女たち。その知られざる実像とは――。
驚異の成功率99%
LSが誕生したのは、10年8月のことだった。発起人は「チーム青森」で活躍した「マリリン」こと本橋麻里(35)だ。
「チーム青森で06年のトリノは7位、10年のバンクーバーは8位。世界に勝つためにコミュニケーションを密に取り合える選手を集めたいと考え、地元・北見でチームを作る構想が浮かんだといいます。当時24歳だった本橋は自ら地元企業を訪問し、スポンサー集めにも奔走していました」(カーリング関係者)
だが結成してしばらくは、司令塔の藤澤、「ヤァァップ」の声を会場に響かせた吉田知の姿は無かった。当初からメンバーだったのは、吉田夕と鈴木夕湖(ゆうみ)(30)の二人だ。
「リードの吉田夕は、準決勝ではショット成功率が驚異の99%。中でも、ウィック(相手の石を僅かに動かすショット)の精度は職人芸です」(五輪デスク)
吉田夕は93年生まれ。姉妹の父・修一さんはホタテ漁師、母・富美江さんは日本カーリング選手権で優勝経験もある実力者だ。
カーリング娘「秘録」
▶︎藤澤五月 給料は4人一律、報奨金は前回銅でもゼロ
▶︎吉田知那美 「イチャイチャしないで」“注意”事件
▶︎鈴木夕湖 偏差値62、キノコ研究のリケジョだった
▶︎吉田夕梨花 勤務先が証言「トイレ掃除もピカ一」
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