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中国のTPP加入申請、専門家「アジア太平洋地域の経済主導権狙う」

中国のTPP加入申請、専門家「アジア太平洋地域の経済主導権狙う」

 

TPP協定加盟国の政府の閣僚たち(CLAUDIO REYES/AFP via Getty Images)

中国当局は16日、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への加入を正式に申請すると発表した。専門家は、中国当局は米国に対抗し、米国とのデカップリング(切り離し)を視野に、TPPを通じてアジア地域の経済活動をリードしたい狙いがあると分析。TPP協定が定める自由貿易のルールが厳格であるため、中国当局にとって加盟のハードルが高く、交渉は難航が必至だとみられる。

米国のオバマ政権は高水準で、包括的で、バランスの取れた経済連携協定(EPA)として、TPP協定を積極的に推進した。2015年10月、米国、日本、カナダ、オーストラリアなど12カ国による米アトランタで開催された閣僚会合で、TPP交渉は大筋合意に至った。2016年2月、ニュージーランドのオークランドで、同協定は12カ国によって署名された。しかし翌年、米トランプ政権は離脱を表明。米国の離脱に伴い、TPP協定は「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ(CPTPP)協定」に改名された。日本は今年、決定権を持つ「TPP委員会」の議長を務めている。

長引く交渉

台湾政府系シンクタンク、中華経済研究院WTO・RTAセンターの顔慧欣副執行長は大紀元の取材に対し、中国当局はTPP協定への加入で、アジア太平洋経済協力(APEC)と東南アジアで主導権を獲得したい思惑があるとの見方を示した。

中国当局は2020年11月、日本や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)を含む15カ国と、貿易の自由化を目指す地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。直後に習近平主席はCPTPP加盟への意欲を見せた。

顔氏は「TPP協定が求める関税の削減は中国当局にとって大きな問題ではない。ただ、電子商取引の情報の自由な越境移転や国有企業への補助金支給などの問題は、中国当局にとってネックになる」と交渉の難航が必至であることを指摘した。

同氏は、中国当局による最近の民間企業への統制強化と習政権が掲げる「国進民退」政策を挙げ、「TPP協定のルールと真逆だ」と批判した。

西村康稔経済再生担当相は17日の会見で、中国の加盟申請について「極めて高いレベルのTPPルールを満たす用意ができているかをしっかりと見極める」と述べ、慎重な姿勢を示した。

麻生太郎財務相も同日、「新規加入できるような状態ですかね、今の中国は?と単純に思う」と述べ、疑問を呈した。

中国と関係が悪化している豪州のテハン貿易相は17日の声明で、中国が政治問題と絡めた制裁関税などを解かない限り、交渉入りに応じられないとの立場をにじませた。

加入交渉開始も承認も、全加盟国の同意が必要となっている。

中国、アジア経済圏を仕切る目論見

大紀元コメンテーターの王赫氏は、「中国はRCEPやTPPに参加して、アジア経済圏を支配することで、欧州連合(EU)が率いる欧州経済圏と米国がリードする北米経済圏に対抗し、三つ巴の局面形成を目論んでいる」との見解を示した。

「中国は今世界2位の経済大国で、アジア太平洋地域に強い影響力を発揮し、この地域における米国の影響力を越えている。当局は、RCEPとTPPへの加盟で、中国を中心としたアジア太平洋経済貿易圏を推し進めようとしている」

王氏は、「この経済貿易圏は、中国が米国に対抗する上でヒンターランドとしての役割を果たせる。中国はこれで米国とのデカップリングを恐れる必要がなくなるかもしれない」と指摘した。

顔氏と王氏は、中国当局はTPP協定加盟を成功させるために、TPP協定のルールを満たすよう、国内の政策を一時的に調整する可能性があるとした。世界貿易機関(WTO)に加盟した当時も中国は同様な調整を行った。

米政府の反応

今年1月に発足した米国のバイデン政権は、TPP協定に復帰するか注目されてきた。

ブルームバーグは今年5月、米国は中国当局が世界の貿易をリードすることを認めるべきではないと主張した。米国がTPP協定に参加しなければ、中国当局は遅かれ早かれ参加するという。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は16日の記者会見で、「大統領は、TPPに復帰しないと明言している」と述べた。TPP協定加盟で中国当局がアジア各国に多大な影響力を発揮する恐れがあるという米メディアの懸念に対して、サキ報道官は「その国(TPP加盟国)の判断に委ねたいと思う」と発言した。報道官は、米政府はインド太平洋地域でより協力的で経済的なパートナーシップの構築にさらに取り組んでいくと示した。

台湾中山大学の廖達琪教授は、TPP協定加盟国が中国の加入を認める可能性は低いと示した。「米国は必ず介入するだろう。TPP加盟国は米国のインド太平洋戦略に含まれているからだ。バイデン政権がTPP協定について再検討する可能性はある」との考えを示した。

米メディア、フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)は10日の評論記事で、近年中国の経済力増大を考えると、米英豪が構築する「新インド太平洋同盟」は中国当局の影響力拡大を封じ込めるのが難しくなっていると指摘した。

(翻訳編集・張哲)

Source: 大紀元 エポックタイムズ・ジャパン

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