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米FDA 抗体療法を承認「人工抗体を直接注射」

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新型コロナウイルス感染予防策の一環として、米国食品医薬品局(FDA)はREGEN-COVモノクローナル抗体療法を、ウイルス感染が顕著であった一部集団に対して使用を承認しました。ただし使用に当たっては、対象とする患者について「2種類の人」「2つの場合」という二つの条件が適用されます。

 

ワクチンが効かない「ハイリスク群」に使用

新型コロナウイルス重症化ハイリスク群には、感染予防ワクチンを打っても十分な抵抗力が得られない免疫機能の弱い人が含まれています。そうしたハイリスクの人がウイルス感染後に重症化した場合に、あるいは重症化する前の段階で、REGEN-COVモノクローナル抗体療法を受けるという、新たな選択肢が増えています。

現在使用されている数種の新型コロナウイルスワクチンは、いずれもウイルスの遺伝子断片を体内に注射することでヒトの免疫系を誘発し、予備的に抗体をもつようにします。

その後、実際にCOVID-19(新型コロナウイルス)に感染した場合に、その抗体が侵入したウイルスを駆逐して消滅させる作用を期待するものです。これは、コロナ感染した患者の発症および重症化を防ぐことが主な目的であり、感染そのものを避けるためのものではありません。

これに対して、REGEN-COVモノクロナール抗体療法とは、実験室で予め作られた抗体であるカシリビマム(casirivimab)とイムデミマブ(imdevimab)という2つのモノクロナール抗体を、注射によって直接体内に投与するという方法です。

こちらは予防法ではなく、いわゆる「療法」ですので、すでに感染・発症し、しかも重症化している場合もしくは重症化が見込まれる場合に選択される治療法です。

 

ハイリスク患者の重症化を防ぐ「砦」になるか

FDAがモノクローナル抗体の使用を承認したのは、今回が初めてです。成人および小児(12歳以上、最低体重40 kg)で使用できますが、具体的には以下の2種類の患者に適用されます。

一つは「重症かつハイリスク者で、ワクチン未接種または接種完了していない患者」。もう一つは「重症かつハイリスク者で、ワクチン接種を完了しているが、十分な免疫反応が得られなかった患者」です。

新型コロナウイルスのハイリスク群とは、主に高齢者、肥満の人、さらには心血管疾患、慢性腎臓病、慢性肺疾患、糖尿病、免疫機能障害などの患者を指します。このような持病のある人は、コロナ感染後に重症化しやすく、死亡リスクが高いとされています。

さらに、自己免疫疾患の人、エイズ患者、ガン患者、臓器を移植された人(レシピエント)などは、ワクチンを接種しても必ずしも十分な免疫力が得られるとは限りません。

こうした、もともワクチン効果が期待できないハイリスクの人がコロナに感染し発症した場合、投与できる通常の薬品も慎重に選ばなければならないので、よけいに重症化しやすいことになります。

米国のウイルス学の専門家である林暁旭博士は、「仮に3回目、4回目のワクチンを接種しても効果が得られるわけではないので、抗体を直接注射するほうが役に立つ」と述べました。

こうした「持病のある人」「自己免疫に疾患のある人」という二つの場合も、モノクローナル抗体療法を用いることは可能である、とされています。

 

デルタ株、その他の変異株にも有効

ノースカロライナ大学チャペルヒル校で、モノクローナル抗体療法を研究しているマイロン・コーエン博士は、NBCニュースに対し、この治療法の利点として「鼻やのどにウイルスが感染したときに、コロナウイルスがさらに体内に侵入するのを阻止することができる」と答えました。

臨床試験では、検査開始時に陰性で、かつ新型コロナ患者と濃厚接触があった人は、REGEN-COVモノクローナル抗体療法の使用後、プラセボ(テスト用の偽薬)投与者に比べて、29日後に確定診断された症状のある病例は81%低くなっていました。

また、感染者で抗体注射をした人は、入院することなく、重症化もしませんでした。

REGEN-COVモノクローナル抗体療法は、細胞表面のACE 2受容体(ウイルス中和タンパク質)に近づいて細胞内部へ侵入しようとするウイルスを、2つのモノクローナル抗体が立ち塞いで阻止するものです。

(医学誌『ニューイングランド医学雑誌』 (NEJM)と『細胞』 (Cell)に掲載された研究によると、この抗体療法は「3つの効果」をもたらすことができるといいます。

一つは、ウイルス感染者がこの抗体療法を受けた場合、感染者に接触した他者にとって、二次感染の予防効果が高いこと。および、感染者が他者に二次感染させる可能性のある期間を、大幅に短縮できること。

二つ目に、感染者の入院率、重症化率を減らせること。

三つ目に、特定の入院患者に対して、治療ができること。

さらにこの療法はデルタ株だけでなく、南アフリカ株、ブラジル株など、ひろく変異種ウイルスに対しても良好な治療効果が期待できるとされています。

ただし、林暁旭博士は、すべての薬物にはある程度の副作用があるとした上で、「この抗体療法は、患者がウイルスにさらされてから使用するもので、ウイルスに触れたことがない人は使用してはならない」と強調します。つまりモノクローナル抗体療法は「予防的に接種するワクチンではない」ということです。

米FDAも同様に、「モノクローナル抗体療法が新型コロナワクチンに取って代わることはない」として、ワクチン接種を継続するよう促しています。

 

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

Source: 大紀元 エポックタイムズ・ジャパン

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